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2018.05.30
  • 会計税務顧問

経営企画の人って普段どんな仕事をしているの?将来の社長候補?

経営企画の人って普段どんな仕事をしているの?将来の社長候補?

会社の組織の中で経営企画は他の部署と毛色が異なります。

下記は、NTTデータ北海道の組織図ですが、経営企画部は他の事業部とは独立した社長直属の部門であることが分かります。

何となくフワっとしているなというのが、正直な感想でしょう。

そこで人事異動で新しく経営企画部に異動する社員を題材に、イメージを湧かせていきましょう。

Contents

そもそも経営企画って何?

鋳山良子は、大学卒業後、営業職に就職しました。最初は、右も左もわからない良子でしたが、持ち前の明るさを活かした独特の営業力が人を惹きつけるのか、気付いた頃には営業成績はいつもトップで、営業部では一目置かれる存在となっていました。

本人は、人と接することが大好きでそれが仕事にも生かすことができて良かったと言い、周囲の人にも信頼され、将来の営業部長候補と噂されていました。

そんなある日、良子のもとに経営企画部に異動だという人事異動発令がきます。

突然の話に良子は、どういうことなのかと上司に詰め寄りますが、上司曰く、前例のない昇進だから、黙って経営企画部に行きなさいと言うだけでした。

「本当に昇進なの?」

納得のいかない良子は、とりあえずデスクの整理をするのでした。

 

異動の日、少し所定の時間よりも早く経営企画部に行くと、上司となる50代位と30代位の二人の男性がいました。

良子は、「営業部から異動になりました鋳山良子です」と挨拶し、上司は「君があの鋳山君か、噂は聞いてるよ、よろしく」との返事でした。

30代の男性は、「ども」っと軽く会釈だけでした。

「あの・・・私は何をしたらよいでしょうか」と尋ねると、

「今日はとりあえずこれにでも目を通しておいて」とA4の書類を渡されました。

そこには年間のスケジュールと月次のスケジュールが書かれていました。

「こちらの部は具体的には何をするのでしょう」と、30代の男性に聞くと、

「一言で言うと雑用係かな」と返ってきました。

 

黙っていると、

 

「嘘ですよ(笑)」

「予算立案、月次決算分析、広報・IR、決算短信、決算説明会、取締役会の事務局、株主総会の企画運営、海外関連会社の運営サポート、M&A等さまざまな事を行うという意味で雑用と言いましたが、経営のかじ取りをする大事な仕事です」

と言われ、えらいとこに来てしまったなと思う良子なのでした。

月次の業務

雑用係とか経営のかじ取りとか、良子にはピンとこない内容を聞かされ不安になっていました。

それでも、A4の書類に目を通し、年間と月間の項目があり、どういったことが行われているのかということは理解できましたが、具体的にどのようなことをするのかが全く不明でした。

すると上司から、「鋳山君、これに参加するといいよ」とパンフレットを持ってきました。

経営企画とはという内容の2日間のセミナーの案内でした。

なるほど、これは良子の知りたいことが分かるチャンスだと思い、セミナーの日を待ち望んでいました。

その間の数日、二人の男性は電話がかかると急に忙しく仕事をし、そうかと思ったら、急にいなくなったりしてやはり何の仕事をしているか良子には分かりませんでした。

セミナーでは、経営企画とは何かという話から始まり、30代男性の言った内容と同じような説明がより詳細にされていました。

良子は、ただただ聞いていましたが、それでもやはりまだピンとこないでいました。

そして、月次業務として、経営会議、業績検討会等があること、知識として会社法、金融商品取引法、財務会計、管理会計、社内規定、会議運営・全社の業務内容と組織に関する知識が必要であることや、スキルとして報連相談(報告・連絡・相談)、会議資料作り、社内調整、会議運営、議事録作りが必要であることの説明がありました。

経済学部出身の良子は、法律とは無縁でしたので、法律と聞いただけで正直ゾッとしていました。初めてのことばかりに、一所懸命に聞くだけしかできないでいました。

年次の業務

次の日、上司から「鋳山君、セミナーはどうだった?」と聞かれました。

「正直、分かりませんし、この先不安です、法律とか絡んでるみたいで」と答えると、笑いながら「焦る気持ちは分かるけど、ゆっくりでいいから。即戦力なんてまだまだだし。それより辛い事、これから山ほどあるから」と妙な返事が返ってきました。

辛い事?山ほど?更に不安になる良子でしたが、2日目のセミナーがまだでしたので、それを早く聞きたいなという気持ちで、その不安をどうにかかき消しました。

30代の男性は、とてもぼんやりした様子でパソコンの前に座っていましたが、「昨日、遅かったんだろ、奥さんとか大丈夫だった?」との問いで、ぼんやりの意味を理解しました。

どうやら、夜中まで仕事をしていたようです。

セミナー2日目は、主に年次の仕事についての説明でした。年間業務は本当にいろいろあり、これは年間通して忙しいなというのが感想でした。

予算関係、広報・IR対応、組織改正、中期経営計画、新規事業等さまざまな業務があること、それに伴い差異分析、マスコミ対応、証取・証券会社対応、職務権限規定、ビジョンと戦略、新規事業開発等の知識が必要との説明がありました。

また、スキルとしては、分析、プレゼン力、関連部署との折衝能力、外部・内部環境分析、戦略立案、リサーチ力等々数えきれない程のものが必要とのことでした。

圧倒された良子でしたが、具体的な業務内容を知ることができて、少しスッキリしましたが、不安の波がまた押し寄せてきました。それでも実践していくしかない、良子は自分に言い聞かせました。

キャリアパス

次の日、「鋳山さん、どうだった?理解できた?」との質問が早速きました。

「年次、月次それぞれさまざまな業務をしていくことが分かりました。ただ、私にできるか正直不安です」

良子は、自分の思いをそのまま返しました。

「鋳山君、営業成績トップだったんだよね?営業も最初は何も分からなかったでしょ。それと一緒だから」

良子は、ハッとしました。当初はそうだった、今も当初と同じ。

そっか、なんだと我に返り、

「ありがとうございます。これから色々とご指導をよろしくお願いたします」

といつもの元気な良子に戻った瞬間でした。

良子は、会社経営を補佐する重要な仕事に就かせてもらったんだという事に気付き、営業で培った攻めの姿勢でさまざまな業務に取り掛かろうと決心するのでした。

続いて「キャリアパスって知ってる?」と上司から質問がきました。経営学出身の良子は「聞いたことはありますが、説明となると難しいです」と答えました。

「では、鋳山君の考えるキャリアパスは何?」

「そ、そうですね、営業で例えると今月はこの位売上げるというような目標のことでしょうか」

「うん、間違ってはいないね。補足するなら、今の君で例えると出世に役立つ経歴というか、昇進のための道というか。制度でいうなら、スキルを身につけレベルが上がれば、昇進のチャンスがあり、君はそのチャンスを与えれたんだよ」

と返ってきました。

「目的意識を持つ優秀な人材は会社側にも大きなメリットがあるから、鋳山君もぜひ頑張ってね」

「ありがとうございます。期待に添えるよう頑張ります」良子は、大きな期待に絶対に答えてみせると固く誓ったのでした。

まとめ

経営企画部が担う大半の業務をまとめましょう。

(通常業務)

・年次計画の策定と管理(部門をまたがる問題解決)

・関連会社の管理(特に海外子会社)

・IR対応(投資家とのコミュニケーションを含む)

(スポット業務)

・新規事業の企画(M&Aを含む)

・トップのブレーン(経営課題の解決提案)

通常業務の中でウェイトを占めるのは、年次計画の策定でしょう。

上場会社であれば、将来の事業計画がきちんと描けているかどうか中期経営計画で判断され、会社の時価総額にも大きく影響します。経営者にとってもとても関心のあるタスクです。

また中期経営計画から作られる年度予算と実績との乖離を月次で分析することも重要です。

営業部門だけでなく購買部門・製造部門ともコミュニケーションを取らなければならず、また国内外に関連会社がある場合には、関連会社からも重要な情報を吸い上げなければなりません。

非常に高度なコミュニケーションスキルが要求されます。

さらには、IR対応として投資家とのコミュニケーションも業務の一環です。通常上場会社の有価証券報告書などの問い合わせ窓口は経営企画部とされることが多いです。IRが充実している会社はそれだけ投資家からの信頼を集めますから、企業価値の維持・向上の観点からも欠かせない業務です。

何となく通常業務だけでも忙しそうだな・・・そう思ってきたのではないでしょうか。

これに加えて、スポット業務が入ってきます。

投資の一環としてM&Aを行う際には、自社内でのスクリーニング、入札への応募、デューデリジェンス、契約締結、買収後のPMI(Post Merger Integration)まで一貫して外部専門家を巻き込んだプロジェクトをリードしていかなければなりません。

また社外秘の新規事業開発プロジェクトなどにおいては、社長の手となり足となり、情報収集、仮説の構築、提案、承認後のプロジェクトチームの組成、開発着手と泥臭く進めていくことになります。

非常にストレスのかかる通常業務に加え、難解な経営課題を解決するスポット業務が入ってくるわけですから、戦略ブレーンとしてこれ以上鍛えられる場はありません。

経営企画が華型で、社長への登竜門と多くの会社で目されるのは、こうした理由があります。

今回のケースでは、営業畑で成長してきた鋳山さんを将来の幹部候補として育てていきたい会社の意図が見て取れます。

経営企画業務で数年経験を積んだのち、国内外の関連会社で役員として赴任し、本社に戻るといったキャリアパスが描けるでしょう。

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