MTG(7806)上場!|目論見書等から分かる今後の行方

前段

2018年7月10日に東証マザーズへ上場する株式会社MTG。

クリスティアーノ・ロナウドのSIXPADのCM等でもおなじみで、美容機器、健康機器、化粧品等の企画開発及び製造販売を行う企業です。

出典:同社HP

コテコテの外資企業かと思いきや、実は1996年創業と比較的日本での歴史が長い国内企業です。

ピッコロ
そうだったのか・・・

製品のクオリティーとイメージ戦略によるマーケティングが功を奏した結果、近年では業績が右肩上がり。

ついに2018年7月に東証マザーズに上場することが決まりました。

ストックオプションについては「クリスティアーノ・ロナウド」や「マドンナ」などの付与対象者が話題ですが、「時価発行新株予約権信託」も一部用いられており、かなり特徴的です。

これらは、今回上場に際して公開されたMTGの目論見書などの開示資料から明らかになっています。

MTGのこれまでの軌跡や今後の展開について下記のポイントを中心に見ていきましょう。

POINT
①時価総額2,000億円超。平成30年9月期の売上高600億円、営業利益75億円(営業利益率12%)
②土地だけで100億円投下済みの新本社建設計画(熱田駅前)
③アンバサダーへのSO付与や時価発行新株予約権信託の利用
④アリババとの戦略的業務提携
⑤プロフィットセンターを細分化したユニークな全社経営
⑥かつての中核事業である水事業の苦戦
Junichi税理士
なおあくまで投資は自己責任でお願いします!

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メルカリ mervari(4385)上場!| 目論見書から分かる今後の行方


注意

標準的な読了時間:10分

開示資料のFactと個人の主観とを明確にするため、以下のルールで進めています。

・主観:2.総合評価、黄色ハイライト

・事実:4.企業概要以下(黄色ハイライトを除く



総合評価

はじめに結論から。目論見書等をもとに、独断と偏見で勝手にポイント(60点満点)をつけました。

なお「新規上場会社が長期安定的な成長を遂げるには何が必要か?」という観点から6つの評価項目を選定しています。

あくまでイチ投資家としての個人的見解です。

Factベースだけ確認したい方はくれぐれも読み飛ばしてください(笑)

評価結果/所見

総合評価は 54点/60点 A評価

今後の成長性はとても高いと判断しました。

Junichi税理士
判断した理由を簡単にコメントします

①事業規模:10点/10点

売上高600億円程度が進行期に見込まれます。グローバル事業は、特に中国市場で来期以降も堅調に推移することが予想されます。文句なしに満点。

②収益性:10点/10点

開発及びデザインの独自性と商品のイメージとマッチする象徴的なアイコン(クリスティアーノ・ロナウドやマドンナ)を組み合わせた一気通貫したマーケティングが功を奏し、収益性の高いビジネスモデルを確立しています。

各ブランド自体に固有のストーリーがあり、コモデティティ化しづらい強みがあります。収益性の高い独自のビジネスモデルを構築しており、こちらも文句なしに満点。

③ビジネスリスク:7点/10点

開示されている情報から特段懸念される情報はなしです。ただし、例えばアイコンとして起用しているアンバサダーの不祥事が起きた場合のブランド棄損リスクや、継続的なヒット商品の開発、模造品によるブランド棄損といった不確実性に起因したリスクが他社と比べて高いことを考慮し、7点としました。

④将来ビジョン:10点/10点

中国市場におけるアリババとの提携、米国市場におけるマドンナをアイコンとした新ブランドのリリースなど、日本発の海外展開は既に形になってきています。

またテーマパークとも称すべき巨大な新本社の建設など、更に自社のブランドを高めるユニークな施策を計画しており、将来ビジョンは非常に明確です。

明確なビジョンと既に形として数字に現れている点、満点としました。

⑤マネジメント:8点/10点

経営者のカリスマ性や各収益部門(PC=プロフィットセンター)を細分化した部門別採算制度(MTG経営システム)などにより、マネジメントの水準は極めて高いと考えられます。

ただし、その他のリスクとして記載されるとおり、経営者のカリスマ性に依存する面が否定できません。替えの効かない絶対的な存在を抱えている点を考慮し、8点としました。

⑥従業員:9点/10点

従業員は連結ベースで1,000人を超え、平均年齢も35歳と今後の成長をドライブする人材を多く抱えています。平均給与は5百万円程度に落ち着き、BSを見る限り退職金規定もなさそうです。

とはいえ、時価発行新株予約権信託として「頑張った成果」に応じて報酬が変動したり、フェアな労働環境の整備が進んでいます。こうした新しい施策が優秀で能力の高い人材の確保(特に若年層)につながっていると考え、評点を9点としました。

評価ランク

A評価:54~60点

B評価:48~53点

C評価:42点~47点

D評価以下:~41点

総合評価の補足:ファンダメンタルズ分析

あまりIPO直後の銘柄にファンダメンタルズ分析を行っても意味がないと個人的には思っていま

どちらかというと、企業の今後に対する「期待値」が大きく株価に反映されるためです。

Junichi税理士
最近は赤字上場も珍しくないしね

 

「どれだけ会社に対して期待が持てるのか」といった定性的な情報を、いかに目論見書等に織り込んでいるかの方が、投資家に与える影響が重大です。

総合評価では、この期待値の多寡を無理やり数値化しています。

 

とはいえ実績も一応見ておきたい。

 

そんな方向けに一応客観的な指標としてファンダメンタルズ分析を載せておきます。

注意
・平成30/9期純資産は、平成29/9期純資産+平成30/9期純利益
・平成30/9期有利子負債は、平成30/3期有利子負債額を利用
・EPSは簡易的に期末の発行済み株式数を利用
・発行済み株式数からは、自己株式を除外。
・SO割合は5%未満であり僅少であることから希薄化効果は加味しない。

IPOの概要

基本情報

・会社名:株式会社MTG

・上場予定日:2018年7月10日

・市場区分:マザーズ

・代表者:代表取締役社長 松下剛

・本店:〒453-0041 名古屋市中村区本陣通二丁目32番

・設立:1996年1月

・事業の内容:美容機器、健康機器、化粧品等の企画開発及び製造開発

・事業年度:9月決算

・株主名簿管理人:三井住友信託銀行

・監査人:有限責任監査法人トーマツ

・幹事証券:野村證券(株)

公募・売出要領

・公募(新株式発行):5,045,000株

・公募(自己株式処分):855,000株

・売出(引受人の買取引受による売り出し):1,000,000株

・売出(オーバーアロットメントによる売り出し):1,035,000株

・売出株放出元:松下剛1,000,000株

・公開価格の決定方法:ブック・ビルディング形式

・仮条件決定日:2018年6月21日

・ブック・ビルディング期間:2018年6月22日から6月28日まで

・公開価格決定日:2018年6月29日

・想定発行価額:5,290円

・申込期間:2018年7月2日から7月5日まで

・払込期日:2018年7月9日

・受渡期日:2018年7月10日

・元引受取引参加者等:野村證券(株)、大和証券(株)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(株)、東海東京証券(株)、SMBC日興(株)、(株)SBI証券、みずほ証券(株)、楽天証券(株)、いちよし証券(株)、岡三証券(株)、エース証券(株)、マネックス証券(株)、松井証券(株)

なお社長の松本剛氏の上場前の現在の持ち株数は22,576,440株。

想定発行価額が5,290円ですから、社長が有する株式価値はどうなるでしょうか。

 

なんと約1,194億円!!

さらにストックオプションによるキャピタルゲインが加わります!!

 

夢がある話ですよね。

起業にはリスクはつきもので、その分成功者にはどんどん輝いてもらいたいです。

出典:同社HP

企業の概況

主要な経営指標等の推移

(連結)

企業の概況を確認していきます。

まず売上高は、平成29年9月期は453億円と前年比で+158億円(+153%)と大きく成長し、

経常利益も平成29年9月期は61億円を計上しています(経常利益率13.5%)。

 

経営は非常に順調に来ていますね。特に上場なんてする必要もないように思えるのですが、

平成29年9月期の投資CF▲10,241百万円、財務CF7,071百万円がピンときますでしょうか。

 

投資に多額の資金を投下し、その財源として借入を行っているのです。

 

今回の上場はこの多額の投資の延長戦にあるのではないか?

そんな目線をもって読み進めていく必要があります。

(単体)

次に単体のサマリーに移りましょう。

単体でも、経常損益は、平成29年9月期+55億円(経常利益率12.7%)を計上しています。

経常利益率が高く非常に収益性の高いビジネスモデルで、売上高も、平成29年9月期434億円を計上しています。

業績サマリーでは文句なしの優等生です!!

上場理由と投資の目的がはっきりさせることを目的に読み進めていきましょう。

沿革

沿革をまとめると、以下のことがわかります。

①  国内→単なる卸(マーケットビジネス)ではなく、製品開発にも積極的。

・研究開発拠点を有している。

・平成29年にミチノ製薬株式会社を買収。多角化を進めている。

② 海外→中国進出は比較的早く、欧米市場の進出はここ数年。上場後の資金で海外事業を加速化???

(中国進出)

平成24年:MTG深圳

平成25年:MTG台湾、MTG上海

(欧米等進出)

平成26年:MTGパシフィック

平成29年:MTG USA、MTG韓国

平成30年:MTG UK、MTGヨーロッパ

沿革読むと、単なる「卸売り」ビジネスではないんですよね。

「投資に注視せよっ!」と言ったところですが、さっそく平成30年にM&Aが活発化しています。

研究開発の内容にも注視して読み進めていかないとビジネスの理解が不足しますので注意して見ていきましょう。

事業の内容

次に事業内容を見ていきましょう。

ビジョン

(ビジョン)

「ブランド開発カンパニー」として、「クリエイション」「テクノロジー」「ブランディング」「マーケティング」の4つの軸を融合した事業ビジョンに基づき、世界中の人々の人生をより美しく、より健康的に輝かせるために、Beauty・Wellnessをテーマにしたブランド及び商品の開発を行っています。

会社の事業ビジョンの4つの軸をもう少しかみ砕きます。

・クリエイション:今、世の中にないものを創造し、デザインし、つくり上げる

・テクノロジー:クリエイトしたイメージを独自の技術力とエビデンスで具体的にする

・ブランディング:プロダクトを誠実に圧倒的世界観で伝えていく

・マーケティング:JAPANブランドの力を世界へ。独自の市場を開拓する

出典:同社HP

ここから分かるのは、モノづくりからブランディング・マーケティングに至るまで、一貫して自社ブランドによる差別化を図っていることです。また成長戦略に記載されるとおり、AI・IoTを駆使して今後より一層の差別化を図ろうとしていることが汲み取れます。

セグメント

次に特長的なセグメント情報です。

単一セグメントと思いきや、何とセグメント区分が6つも存在します(苦笑)

・グローバル事業:

海外のインターネット通信販売事業者、海外の販売代理事業者、海外の美容専門店及び海外の百貨店運営事業者への卸売販売

・リテールマーケティング事業:

量販店運営事業者への卸売販売及びカタログ並びにテレビ通信販売事業者への卸売販売

・ダイレクトマーケティング事業:

当社ECサイトを通じた一般消費者への直接販売及びインターネット通信販売事業者への卸売販売

・ブランドストア事業:

百貨店運営事業者並びに免税店運営事業者への卸売販売及び当社運営の小売店舗での対面販売を通じた一般消費者への直接販売

・プロフェッシナル事業:

美容サロン運営事業者への卸売販売、エステティックサロン運営事業者への卸売販売及びフィットネスクラブ運営事業者と提携している販売代理事業者への卸売販売、並びにフィットネスクラブでの一般消費者への直接販売

・その他事業:

ウォーターサーバーの提供及び天然水の販売、中古自動車等の一般顧客への直接販売、美容機器及び化粧品メーカーに対するOEM商品の卸売販売など

見てわかる通り、商流が違うだけで、事業を分けているんです。

こんなセグメントの分け方はじめてみました。。。

普通は、めんどくさいので単一セグメントとして集約してしまいます。

わざわざセグメントを複数にわけるメリットがあるんでしょうか。

気になってホームページを調べたら、きちんと理由がありました。

MTGのグループ経営方式

組織を各収益部門(PC=プロフィットセンター)に分け、
部門別採算制度をベースに運営することで収益を明確にする経営システムを確立しています。
経営者意識を持ったリーダーを育成し、全社員が経営に参画する「全員経営」を実現します。

・市場に直結した部門別採算制度

・経営者意識を持つ人材の育成

・全員経営の実現

またグループ経営方式の軸の一つ、プロフィットセンターとして社内承認を得るために、「経営プレゼン」の機会を設けているそうです。

自部門が会社に利益をもたらす独立した事業体として認められることで、経営課題や社員一人一人の責任が明確になります。

組織としての強さ・成長を促進させる施策として、「プロフィットセンターを細かく設定・管理する必要がある」ということのようです。

出典:同社HP

なお各事業の関係は、事業系統図で表されます。

セグメントを商流で切っている関係で少しややこしく見えてしまいますが、大きくは仕入れの窓口がMTG(単体)となり、これを国内外の販売子会社や代理店を通して、個人消費者に供給するという流れです。

ブランド

最後に実際に取り扱っている主要ブランドを見ていきましょう。

このほかにも、5つのブランドがあり、合計11のブランドで事業を展開しています。

直近期の売上高構成比率は、どうでしょうか。

ReFaとSIX PADが突出していることが分かります。

関係会社の状況

関係会社の状況をまとめました。

MTG パシフィック、MTG EUROPEがそれぞれアジア・欧州の地域統括会社の位置づけになるのでしょう。

国内子会社

海外子会社

持分法適用関連会社

従業員の状況

連結ベースの従業員数は、1,107人。従業員数がここ1年で+390名増加しています。

主な理由としては、中途採用の強化・IoTやAIをはじめとする新商品開発のための開発人員の強化・ブランドストア事業における店舗販売員の強化によるものです。

単体ベースでは、

・従業員数795人

・平均年齢35.5歳

・平均勤続年数2.5年

・平均年間給与5,458千円

従業員の状況は、メルカリによく似ていますね。

メルカリの分析

平均年齢や勤続年数が低く、一方で給与は同世代の業界水準よりも高いのが特長的です。

後述する信託を利用した珍しいストックオプションの発行やプロフィットセンターを細分化して、早くから数字に責任を持たせるポジションに人材を登用していくといったユニークな人事施策が見られます。

他とは一風変わった独特な企業文化がなければ、昨今の売り手市場で優秀な人材を確保することはできないんでしょうね。

事業の状況

業績等の概要

数字についてMTG自身はどう語っているのか。

重要な箇所を抜粋しましょう。

(事業)

①グローバル事業

中国及び韓国を中心にReFaブランドの認知度が高まり、また、平成29年9月MDNA SKINの米国ローンチイベントを行ったことにより、売上高は11,667百万円(前期比154.1%増)、経常利益は1,670百万円(前期は214百万円の経常損失)となりました。

→海外事業は平成29年9月期において、売上高が100億円を超え、かつ黒字化に成功!!

②リテールマーケティング事業

SIX PADブランドのIN SHOP事業の展開、ReFaブランドの好調及びインバウンド需要の増加により、売上高は10,691百万円(前期比16.4%増)、経常利益は3,221百万円(前期比10.6%増加)となりました。

→代理店使う分利益率が落ちるのかと思いきや経常利益率は、30.1%とダイレクトマーケティングと遜色ない高利益率。

③ダイレクトマーケティング事業

SIX PADブランド、ReFaブランド及びPAOブランドの売上増加により、売上高は9,856百万円(前期比42.6%増)、経常利益は3,334百万円(前期比136.3%増)となりました。

→経常利益率は、33.8%とかなりの高収益率を計上。リテールマーケティング事業と並んで同社の成長を牽引。

④ブランドストア事業

訪日外国人の増加によるインバウンド需要の増加、リピート消費者の獲得及び接客ノウハウの蓄積による店舗当たりの販売増加と、直営店事業の展開により、売上高は5,836百万円(前期比193.3%増)、経常利益は577百万円(前期比123.3%増)となりました。

→経常利益率は、9.8%を計上。店舗や人件費にかかるコスト分収益率が下がるものの、自社ブランドを消費者に直接遡及することができる店舗ビジネスは、ブランド価値の向上(ロイヤルカスタマーの獲得)など間接的な貢献を無視できない。

⑤プロフェッショナル事業

美容サロン運営事業者への卸売販売、エステティックサロン運営事業者への卸売販売及びフィットネスクラブ運営事業者と提携している販売代理事業者への卸売販売、並びにフィットネスクラブでの一般消費者への直接販売により、売上高は6,112百万円(前期比17.5%増)、経常利益は1,262百万円(前期比32.2%増)となりました。

→経常利益率は、20.6%と前期と比較し大きく改善。ReFaブランドの認知向上やMTGプロフェッショナルにおける3店舗出店など昨今の美容・フィットネスブームを追い風に堅調に推移。

⑥その他事業

売上高は1,161百万円(前期比27.4%減)、経常損失は976百万円(前期28百万円の黒字)となりました。

→主にウォーターサーバー事業。「宅水便クララ」を「Kirala」に名称変更し、リブランディングを行ったものの、成果が出ていない。リブランディングにかかる広告宣伝費等コストがかさんで大きく経常損失を計上。もともと平成16年から販売を行っていた中核事業であったが、継続は難しいか?上場後は投資家の目もあり、事業撤退も視野に入るか?

 

(ブランド)

①ReFaブランド

新商品の発売に加え、中国EC大手アリババグループとの戦略的協力の基本契約の締結により、中国及びアジア市場での認知度が向上しました。

②MDNA SKINブランド

平成29年9月米国ニューヨークにてマドンナ氏と共同でローンチイベントを行い、バーニーズニューヨーク2店舗及び自社オンラインショップでの販売を開始した結果、米国での当社及び当ブランドの認知度が向上しました。

③SIX PADブランド

新商品の販売や平成29年7月に旗艦店「SIXPAD STORE AOYAMA」をオープン。バレーボール・ワールドグランドチャンピオンズカップ2017男子オフィシャルスポンサーとして協賛など、 当社及び当ブランドの更なる認知度が向上しました。

ReFaブランドを中国を含めたアジア市場の目玉、MDNA SKINブランドを米国市場の目玉として意図していることが分かります。中国市場では既に一定の成果を収めていますが、米国市場ははじまったばかりです。

MDNA SKINがReFaと並ぶ一大ブランドに成長できるか否かが向こう数年の業績を大きく左右しそうです。

SIX PADよりも前に持ってきていますからね。本気度がうかがい知れます。

生産、受注及び販売の状況

ここは、メーカーではないので、ほとんど記載がありません。

ただし、第6期の第二四半期までの連結売上高はのっています。

数字にして、28,416百万円です。

単純に年ベースに換算すると(=28,416百万円/6か月×12か月)

グループ全体(連結)で568億円。業績予想が600億円ですから、概ねこれに近い着地になりそうです。

セグメント別に見ると、グローバル事業は平成30年3月第2四半期までで、10,426百万円(前年同期比154.1%増)と大きく飛躍しています。

おそらくはアリババ砲によるReFaブランド・マドンナ効果でのMDNA SKINブランドが押し上げたものと考えられます。

海外事業が堅調に推移しているというのは、かなり良い材料です。

経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

ここでは、経営戦略や対処すべき課題について語られています。

非常に内容が充実しているので、是非一度じっくりご一読ください。

MTGの今後の経営方針

① MTGフォロソフィを根幹とした会社経営

② 経営システムの強化

③ ブランド及び商品の開発

④ 消費者ニーズの変化への対応

⑤ 新たな販売市場の開拓及び既存の販売市場との融合

⑥ 既存の販売市場の地域展開

⑦ リピート顧客の獲得

⑧ 新規ブランド及び商品並びに新規事業の成功

⑨ ブランドイメージの維持向上

⑩ マーケティングの強化

⑪ 模倣品対策と知的財産確保

⑫ 徹底した品質管理

⑬ カスタマーサービスの向上

⑭ 拠点の統合

⑮ ブランドポートフォリオの確立

対処すべき課題

(事業等のリスク)

① 消費者ニーズへの適合

② 特定のブランド及び商品への依存

③ インバウンドの動向

④ 海外販売のリスク

⑤ 広告宣伝のリスク

⑥ 競合の激化

⑦ 知的財産権に係るリスク

⑧ コンプライアンスの遵守

⑨ 許認可に係るリスク

⑩ 情報セキュリティに関するリスク

⑪ 製造物責任賠償のリスク

⑫ リコール発生などの品質問題が及ぼす影響

⑬ 消費者とのトラブル及び風評のリスク

⑭ 返品発生のリスク

⑮ 部材及び商品供給のリスク

⑯ 天災、火災、事故等の発生が将来の業績に与える影響

⑰ 出店のリスク

⑱ 在庫のリスク

(その他のリスク)

① 特定人物への依存

② 為替リスク

③ 重要な訴訟など

④ 新株予約権行使による株式価値の希薄化

目を引いたのが、その他のリスクの

① 特定人物への依存

③ 重要な訴訟など

です。

①は、どういうことでしょうか。MTGの言葉を借りると、

当社グループは、特に新規ブランド及び商品の着想は代表取締役社長である松下剛が行っております。当社グループは、「ブランド開発カンパニー」として「クリエイション」「テクノロジー」「ブランディング」「マーケティング」の4つの軸を融合した事業ビジョンで事業を発展させており、当該方針を各部門に浸透させております。代表取締役社長である松下剛に依存せずに新規ブランド及び商品の開発並びに事業を遂行できる体制へ移行してまいります。

しかしながら、代表取締役社長である松下剛が何らかの理由により当社の業務を継続することが困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす影響があります。

つまり、社長のカリスマ性に依存している面が大きいということです。

新規ブランドなど大胆な挑戦ができるのは、トップダウンでの意思決定が欠かせません。

「置きにいく」だけの守りの経営では、流行を生み出せません。

MTG流の経営メソッドを今後どう確立していくのか、注視していきたいと思います。

出典:同社HP

次に③です。

現状重大な訴訟はないと記載されていますが、連結BSには、訴訟損失引当金307百万円が計上されています。

注記を見ると、いわゆるチャイナリスクがあるようです。

模造品の販売・流通といった課題もあり、中国市場での商売は、市場規模の魅力と隣り合わせでリスクがあります。

訴訟損失引当金繰入額

連結子会社であるMTG上海で現在係争中の訴訟案件について、将来発生する可能性のある損失に備えるため、損失負担見込額を訴訟損失引当金繰入額として特別損失に計上しております。

模倣品問題については、松下社長が中部経済産業局の記事で次のようにインタビューに答えています。

(インタビュー抜粋)

模倣品の根絶のためには、「生産」「流通」「販売」の3箇所がポイントになります。

まず「生産」については、模倣品を作っているところ、これはほぼ中国に集約されているようです。この出元を見つけては摘発しています。

「流通」については、税関が1つのポイントです。中国から日本に入ってくる水際で流入を止めてもらっています。中国の税関にも申請しましたが、出て行くところで差し止められた例はまだありません。今後強化してもらえるよう要請しています。

「販売」については、模倣品のほとんどはウェブ販売で取引されているので、定期的にパトロールし、模倣品を見つけたらサイト運営元に依頼し、即時サイトから削除してもらっています。中国では、ウェブ販売最大市場であるタオバオを中心に月一回実施しています。

また、模倣品購入の未然防止のためには、消費者自身に訴えることも重要です。2016年12月、弊社のホームページ内に、模倣品対策の特設サイトをオープンました。摘発事例や模倣品の種類などを紹介しています。

今後は、中国におけるアリババ(タオバオをはじめ、様々な電子商取引事業を運営する大手流通企業)の絶大な信用力もお借りしたいと思っています。例えば“模倣品が出回っていますが、このサイトなら問題ありません”と、弊社だけでなくアリババからも保証してもらうのです。

模倣品対策は、会社によっては予算や人の関係でブレーキを掛けざるをえないという経営判断もあるかとは思います。特に、国内のうちはいいけれど海外にまで広がると追いかけるだけでコストがかかるからと、片目をつぶって諦める会社も多いでしょう。 しかし模倣品を放置することは、私たちのお客様が騙されているのを放置することになります。それに商品寿命も減らすことに繋がります。 開発、生産、販売のあらゆるパートナーにも迷惑を掛けることになり、彼らもやる気をなくし、売り上げにも影響するでしょう。 本来なら末永く市場に必要とされる商品でも、知財をおろそかにしたがゆえに、市場から無くなってしまうこともあるのです。

弊社は、どんなことがあっても立ち向かい、模倣品を放置しない方針です。

中部発きらり企業紹介 Vol.105

経営上の重要な契約等

マドンナ

1. 契約会社名 BoyToy,Inc.

2. 実質的な相手方名称 マドンナ・ルイーズ・チッコーネ

3. 契約品目 MDNA SKIN

4. 契約内容 共同商品開発、商品プロモーション及び販売ライセンス

5. 契約締結日 平成24年2月17日

6. 契約期間 平成33年12月31日

7. 契約更新の定め 定めなし、協議による

クリスティアーノ・ロナウド

1. 契約会社名 株式会社CIRCUS

2. 実質的な相手方名称 クリスティアーノ・ロナウド

3. 契約品目 SIX PAD、ReFa ACTIVE、ReFa ACTIVE BRAIN

4. 契約内容 共同商品開発及び商品プロモーション

5. 契約締結日 平成25年11月27日

6. 契約期間 平成31年7月6日

7. 契約更新の定め 定めなし、協議による

アリババグループ

1. 契約会社名

①Zhejiang Tmall Supply Chain Management Company Limited(Alibaba China)

②Alibaba.com Singapore E-commerce Private Limited(Alibaba Singapore)

2. 契約名目 戦略的協力の基本契約

3. 契約概要

①当社グループ及びアリババグループが、アリババグループの提供する中国電子商取引プラットフォームを介して事業拡大を図ることを目的とした戦略的協力に係る基本契約

②ReFaブランド及びMDNA SKINブランドの中国国内における電子商取引について、アリババグループに独占販売権を付与する契約

③アリババグループは、対象ブランドにつき、目標購入金額を負っており、目標購入金額に達しない場合に当社グループはアリババグループとの独占販売権を解消する権利を保有

4. 契約締結日 平成28年10月14日

5. 契約期間 平成32年3月31日

7. 契約更新の定め 協議による

ファン・ビンビン①

1. 契約会社名 OBRUZA S.A. Limited

2. 実質的な相手方名称 ファン・ビン・ビン

3. 契約品目 ReFa

4. 契約内容 商品プロモーション

5. 契約締結日 平成30年3月23日

6. 契約期間 平成31年4月30日

7. 契約更新の定め 定めなし、協議による

ファン・ビンビン②

1. 契約会社名 MAXFIELD INTERNATIONAL INVESTMENT LIMITED

2. 実質的な相手方名称 ファン・ビン・ビン

3. 契約品目 品目の定めなし

4. 契約内容 共同商品開発契約

5. 契約締結日 平成30年5月8日

6. 契約期間 平成31年5月7日

7. 契約更新の定め 自動更新

研究開発活動

多数の開発者及び研究者を内部に抱え自社開発を行っています。またインキュベーションに特化した専門部門を立ち上げ、世の中の知恵、技術並び経験を結集するために国内外の大学、企業、行政機関及び研究機関と連携するとともに、「人間工学研究所」を設立しています。

特長的なのは、AI・IoTという最先端のテクノロジーを自社製品の開発に取り入れ、特にAIに関しては、AIの研究機関である「MTG AI研究所」を設立している点です。

同研究所においては、理化学研究所革新知能統合研究センターのセンター長で東京大学大学院教授である杉山将氏を技術顧問に迎えています。

上記により、研究開発費は平成29年9月期において、総額1,405百万円を計上するに至りました。

さらなる競争優位を産むため、産官学を巻き込んで最先端のテクノロジーを利用した製品開発に積極的に投資しています。

出典:同社HP

財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析

真新しい記載がありませんので割愛です。

設備の状況

企業の概況の業績サマリーで書きました。投資に注意して読み進めましょうと。

その答えがここにあります。

正解は、本社の建設費用です。

は?それだけ?と思われかもしれませんが、この投資の本気度凄いですよ。

平成29年9月期

事業の急成長に伴う従業員増加と規模拡大のための新社屋建設用土地の取得8,017百万円 21,718㎡

平成30年9月期(第2四半期)

事業の急成長に伴う従業員増加と規模拡大のための新社屋建設用土地の追加取得3,728百万円

まだ土地の取得だけで、既に117億円が投下されています。

投資予定金額の総額については、建築工事費等が未確定であるため、未定です。

移転時期も平成34年9月期~平成36年9月期と全然固まっていません。

 

一体どんな計画なんでしょう。。。

 

HPを見ると少しだけプレスリリースがありました。

(本社新社屋建設予定地 取得に関するお知らせ)

本社オフィスだけでなく、ブランドの研究・開発機能、商品の設計設備を充実させたR&Dセンターやクリエイティブラボ、自社ブランドの製品を取り入れたスパやジム、またアートギャラリーや、美容・健康に特化した複数の飲食施設の建設なども構想しております。さらに地域住民の皆様と共に、最寄駅であるJR熱田駅周辺の地域活性化にも貢献してまいります。

出典:本社新社屋建設予定地 取得に関するお知らせ

もはやテーマパークのレベルで新本社を建設する計画をぶち上げています。

 

提出会社の状況

株式等の状況

ここでストックオプションのベールが明かされます。

ストックオプションはこれまで全部で8回決議付与されています。

中でも特長的なのは、第7回新株予約権です。

(第7回新株予約権)

・名称 MTG新株予約権信託(時価発行新株予約権信託)

・委託者 松下剛

・信託契約日 平成29年8月3日

・信託の種類と新株予約権数

(A01)10,000個

(A02)14,000個

(A03)18,000個

・交付日

(A01)マザーズ市場に公開された日から2.5年が経過する日

(A02)マザーズ市場に公開された日から5.5年が経過する日

(A03)マザーズ市場に公開された日から8.5年が経過する日

・信託の目的

(A01)に第7回新株予約権10,000個(本書提出日現在1個あたり12株相当)

(A02)に第7回新株予約権14,000個(本書提出日現在1個あたり12株相当)

(A03)に第7回新株予約権18,000個(本書提出日現在1個あたり12株相当)

・受益者適格要件

当社グループの役員及び従業員のうち、当社の社内規程等に定める一定の条件を満たす者を受益候補者とし、当社が指定し、本信託に係る信託契約の定めるところにより、受益者として確定した者を受益者とする。

なお、受益候補者に対する第7回新株予約権の配分は、信託ごとに①グループ経営における貢献度合いに基づく付与と②特別付与の2種類に分けられており、新株予約権交付ガイドラインで定められた配分ルール等に従い、評価委員会の決定を経て決定される。

①グループ経営における貢献度合いに基づく付与

当社の経営システムであるグループ経営方式に基づき、組織や個人の貢献度合いを測りポイントを付与し、ポイントに準じて分にされる。

②特別付与

大家族主義という理念に基づく役職員のライフイベントに準じた付与とグループ経営方式では測ることができない貢献に対する付与を行う。

何をしているかというと、新株予約権の受益者を信託をかませることで、将来において柔軟に設定できるということです。

例で示しましょう。

(例)

・従業員Aさん 付与時の貢献80 上場後の貢献20

・従業員Bさん 付与時の貢献20 上場後の貢献80

従来型のストックオプションでは、付与時の貢献で将来権利行使できるストックオプションを付与してしまいますので、

Aさんに80個、Bさんに20個与えられます。

この場合、特に入社時期によって、能力とは関係なく差がついてしまう場合が往々にしてありました。

 

一方で時価発行新株予約権の場合は、上場後交付日までの間の貢献に応じてストックオプションを付与することができます。

上場後交付日までの貢献を評価して、Aさんに20個、Bさんに80個与えられます。

直近の貢献までを勘案してストックオプションを付与することができますので、上場後も対象となる従業員が平等にモチベーション高く働く動機付けになります。

なお信託のスキームについての詳細を確認したい場合は、下記のリンク先で詳しくスキームが紹介されています。

時価発行新株予約権信託とは

出典:BUSINESS LAWYERS(ビジネスロイヤーズ)

自己株式の取得等の状況

平成30年6月時点で保有する855,000株は、本件上場により処分されます。

配当政策

従来の配当は、平成29年9月期において、1株あたり8円、配当金の総額21百万円を実施。

今後は、業績推移・財務状況・事業投資計画等を勘案して、年1回期末を基本とする予定です。

経理の状況

最後に経理の状況を確認します。

これまでの定性・定量情報と異なる発見事項がないか確認していきます。

(連結ベース)

(単体ベース)

注記情報を確認しても、今まで触れてきた範囲の内容がほとんどです。

連単倍率と販売費一般管理費の内訳については、確認しておきましょう。

連単倍率

(平成29年9月期)

・連結売上高45,325百万円 A

・単体売上高43,402百万円 B

・単体が占める割合(=B/A)=95.7%

※厳密には単体の内部取引を相殺する必要あり。MTGから海外の販社への販売取引を単体から除く。

販売費一般管理費内訳

広告宣伝費、販売促進費用、研究開発費で約100億円を年間投じています。

マーケティングや研究開発は企業の競争優位を産む源泉ですから、赤字上場する会社の多くも多額の広告宣伝費・研究開発費を投じています。

ただし、MTGについては既にマネタイズできているという点が大きな強みと言えるでしょう。

営業利益率も10%を超えており、既存の上場会社の中でも非常に収益性の高い企業群に属します。

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)