2018年版売上高急増の上場会社トップ20を財務分析

概要

2018年も3月決算の会社を中心に決算はだいぶ出そろってきました。2018年に売上を大きく伸ばした上場会社はいったいどこなのか、いかにして売上を増加させたのか、気になるところではないでしょうか?

今回は2018年決算(6/15日現在)を公表している上場会社を対象に、前期比売上高成長率が高い会社を20社選定しました。

売上高成長率=(当期売上高-前期売上高)/前期売上高(%)

公表

さっそく売上高増加率のトップ20社を公表します。

出典:EDINET

業種としては、情報・通信業と小売業が大きく伸びている会社の特長なようです。それでは、個別の銘柄で内容を確認します。

SAMURAI&JPARTNERS

売上高成長率が158.35%と大きく躍進したSAMURAI&JPARTNERS。同社はミドルウエア等システム開発が主力で、業務パッケージソフトの企画・開発も行うシステム会社です。さっそく過去5年間の業績と資産推移を見ていきましょう。

 

2018年は売上倍増ながら営業利益率はマイナス。すなわち本業から生じる利益がマイナスになってしまっています。直近2期連続営業赤字ということで、収益性が大きく低下している結果が現れています。

有価証券報告書によると、

(金融関連事業)

金融関連事業におきましては、当連結会計年度より新たに立ち上げた事業でありますが、経営陣のノウハウを生かし、第三者割当増資の引受けを成功させる等の成果が出ております。本成功を皮切りにし、今後も金融関連事業の拡大を進めてまいります。

また、第3四半期に子会社化したAIP証券株式会社(現SAMURAI証券株式会社)が運営するクラウドファンディングのプラットフォームをリニューアルし、サービスの名称も「SAMURAI」に変更しております。これにより、企業の資金調達ニーズに対するファイナンスアレンジやM&Aのアドバイザリー業務及び投資ファンドの組成業務を拡大し、投資家の方々により魅力あるサービスを提供できるよう努めてまいります。

以上の結果、当連結会計年度におきましては、売上高267,079千円、セグメント利益10,542千円となりました。

出典:有価証券報告書

売上の増加理由は、新規事業としてはじめた金融事業の売上でした。セグメント利益も一応黒字ですが、本格的な収益化の見通しはこれからというところでしょう。直近の株価推移は以下のとおりです。新規事業のIR等を材料に期待値から買いが進んでいます。赤字銘柄ということで黒転した際には、さらに化けそうな銘柄です。

ローツェ

売上高成長率が111.2%とこちらも大きく躍進したローツェ。同社は半導体や液晶工場に導入されるウエハ、ガラス基板の搬送装置を製造しており、大口顧客は台韓企業です。さっそく過去5年間の業績と資産推移を見ていきましょう。

2018年は売上倍増ながら営業利益は減収になっています。

決算説明資料によると、ウエハ市場等半導体市場が堅調に推移していることによる売上増加によるものとされています。減収要因も極端な受注増によるコストの増加によるものとのことで、ネガティブな情報ではありませんでした。

(売上の増加要因)

・ウエハ搬送機売上高 21.1%増

→DRAM、NANDフラッシュメモリへの設備投資により販売が好調

・ガラス基板搬送機売上高 約3倍増

→ガラス基板関連自動化装置の一括受注による売上高急増

(営業利益の減少要因)

・営業利益率の悪化

→超短期間でのガラス基板関連自動化装置の大量受注

上半期:組立外注費・工場の賃料などの費用増加
下半期:納入後の装置据付調整等の人件費・経費が想定以上の増加

出典:決算説明会資料

今後の半導体市場は中韓等のアジアパシフィックが牽引していく中で、韓国と台湾向けの売上が多い同社の業績は今後も安定して伸びていくものと考えられます。なお現状の直近株価では、PER15倍と評価されており非常に割安に見えます。

北の達人コーポレーション

最後に売上高成長率が96.2%とこちらも大きく躍進した北の達人コーポレーション。同社は健康美容食品や化粧品のネット通販会社で、オリゴ糖を原料とする「カイテキオリゴ」が主力商品です。さっそく過去5年間の業績と資産推移を見ていきましょう。

2018年は大きく増収・増益になっています。

決算説明資料によると、ウエハ市場等半導体市場が堅調に推移していることによる売上増加によるものとされています。減収要因も極端な受注増によるコストの増加によるものとのことで、ネガティブな情報ではありませんでした。

(売上/営業利益の増加要因)

・広告の自社運用化
→ネット広告の自社運用化に伴い、徹底的な効果分析により、費用対効果の高い広告運用を実現。また、広告代理店へ支払っていた手数料分の削減。

・利益率(粗利)の高い新商品
→最近の売れ筋の商品類の利益率(粗利)が高いことで、全体の利益率(粗利)が4~5%上昇した。

・カイテキオリゴの原価低減政策
→主力商品であるカイテキオリゴについて原価の見直しを図り、利益率(粗利)が
約4~5%上昇した。今後、その他の既存商品でも同様に原価の見直しを行っていく。

出典:決算説明会資料

同社は2019年度も過去最高益の更新を予想しています。ニッチな市場でシェアを獲得できる商品に特化し、広告宣伝費を自社開発システムにより、売れる商品に重点的に配分するなど、一貫した経営戦略により業績を伸ばしています。

現状のPERは127倍と平均的な上場会社よりも高いですが、大幅な増収の上、営業利益率20%超を達成する収益性の高さが相成ったもので数字の裏付けとしては十分です。

注意点

今まで売上高成長率をもとに、上位の会社を分析してきました。売上高成長率を見る際には、補完的な指標として以下の2つは見ておく必要があるため、最後に紹介します。

ピッコロ
確かに売上だけ増えていればいいわけじゃないよな・・・

収益性指標のチェック

まず収益性指標のチェックです。これは具体的には売上高営業利益率を見てください。売上高営業利益率は、本業の利益をどれだけ効率的に獲得できているのかを確認する指標で高ければ高いほど、会社に利益が残ります。

会社は営利目的で事業を行い、利益の獲得が使命です。いくら売上高が増えていても利益が減少していては元も子もありません。特に売上高成長率が本業の伸びではなく、M&Aや新規事業によってもたらされた場合には特に注意深く見なければなりません。この場合利益が出ていなければ、収益化の道筋をどれだけ具体的に示せているかについて、決算説明資料や適時開示から読み取っていかなければなりません。

PERの水準

次にPER(株価収益率)も重要です。仮に増収増益で今後の業績も明るい材料が揃っていたとしても現状の株価の水準に既に織り込まれている場合には、大きな値上がりを期待できず、またちょっとしたマイナス材料が出るだけで大きく値下がりするリスクがあります。

一般にPERは15倍がベンチマークなどと呼ばれていますが、毎月の東証から公表される統計資料で必ず市場や業種ごとのPERを確認し、現状のトレンドを抑えるようにしてください。

日本証券取引所(統計資料)

おすすめ銘柄

今回ご紹介した3銘柄の中では、わたしは「北の達人コーポレーション」に投資しています。PERは現状100倍を超えていますが、決算予想通りに2019年も進めば、2019年決算予測ベースでは十分に割安な水準に落ち着いてくるためです。収益性の高いニッチ市場を独占する商品があり、これらはマクロな経済環境の影響をあまりうけません。

堅い数字が予測できる一方で、確立されたマーケティング手法により、新商品の投入による上乗せが期待できます。爆発的な人気商品が出てくればさらに跳ね上がるでしょう。

Junichi税理士
過去の株価推移実績からも十分期待できる予測ですので、来年の答え合わせを楽しみに待ちます。

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)