GAテクノロジーズ(3491)上場(ipo)!!|目論見書等から分かる今後の行方。

2018年7月25日に上場するGAテクノロジーズ。同社は、AIを活用した中古不動産の総合的なプラットホーム「Renosy®」の開発・運営サービスを提供しています。

出典:同社目論見書、HP

伝統的な不動産売買・仲介ビジネスを流行りのITプラットフォームビジネスにのせた事業内容です。集客にITプラットフォームを利用し、更に自社からエージェントと呼ばれる担当者を介在させることで、高い成約率に繋げています。

同社のIPOに至るまでの軌跡と今後の展開について目論見書等から探っていきます。


(参考記事)

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概要

ファンダメンタルズ

過去5年間の業績推移と直近四半期から推計した業績をもとに簡易的に分析した結果です。

競合他社の状況

不動産ネット取引関連銘柄の直近(執筆時7/13)のファンダメンタルズによると、不動産ネット取引関連銘柄は他業種に比べ、PER、PBR共に両極端に振れています。

想定されるPERとPBRは、LIFULやAPAMANよりも高く、想定価格は割と強めに出しているので、あまり割安感はありません。

出典:Kabutan

IPOスケジュール

抽選申し込み期間:7/6(金)~7/12(木)

当選発表日:7/13(金)

購入申込期間:7/18(水)~7/23(木)

上場日:7/25(水)

評価

総合評価:41点/60点 D

余剰資金が現時点で多く(成長企業は常に投資に回すべき)、くわえて今後の成長ストーリーが漠然としていることから、IPO銘柄にとって重要な「今後の期待値」が低く、厳しい評価になりました。

業種:7点/10点

不動産ネット取引は、不動産×ITの組み合わせで、伝統的な業種をITを利用してピポットしている産業です。市場規模自体に大きな成長は難しい一方、市場占有率は今後大きく動きます。AIやRPA銘柄ほどには人気業種ではありませんが、十分バリュエーションがつく業種と考えられます。

事業規模:8点/10点

自社でも不動産売買を行っており、直近期の売上高は95億円にのぼります。上場時の売上高としては規模は大きく、通期予想では、150億円を超えて着地しそうです。市場占有率をどれだけ高められるかが今後の勝負な中で、裏付けとなる足元の実績は悪くありません。

収益性:6点/10点

直近四半期の経常利益率は3%とあまり高くありません。過去2期の経常利益率も赤字、3%と推移しており、収益性の観点からは十分とはいえません。くわえて直近四半期は純有利子負債残高が8億円超と資金余りな状況です。これを研究開発費や広告宣伝費などに充てていればもっと収益性指標は低くなります。

事業拡大を優先して「赤字上等」で上場するわけでもなく、マネタイズが十分できていることをアピールできるだけの経常利益率があるわけでもありません。「どっちつかず」な印象を受けます。

ビジネスリスク:7点/10点

不動産ネット取引は、寡占市場ではなく競争が激しいこと、また景気や地価の動向といった外部要因に影響される点がマイナス要因です。一方で店舗ビジネスと比較し固定資産がいらないことや為替や地政学的なリスクがあまりない点はプラスです。ビジネスリスクとしては、両者を鑑みて平均的な業種と判断しました。

将来ビジョン:6点/10点

上場による資金使途が、広告宣伝費に今後3年間で10億円を投下ということですが、直近期で2.3億円支出しており、四半期で既に余剰資金が8億円以上あることから、上場しなくてもまかなえる規模だと考えられます。一方で新規事業に充てる支出は45百万円程度と今後の成長戦略がいまいち見えてきません。

希少性:7点/10点

オーバーアロットメントを含むipoでの当選株数は600,000株(売買単位100株)。当たりは6,000枚と当選本数はやや少なめです。希少性の高い銘柄ほど初値が騰がりやすく期待できます。

評価ランク

A評価:54~60点

B評価:48~53点

C評価:42点~47点

D評価以下:~41点

詳細

証券情報

市場からの調達規模

市場からの調達は、公募600,000株を最大で調達します。募集の条件はブックビルディング方式です。

株式の引受け

株式の引受けは、SBI証券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、岡三証券などです。

ロックアップ

・樋口龍及び清水雅司、合同会社GGA、TATERU:

ロックアップ期間180日。

・みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合:

ロックアップ期間90日。ただし発行価格の1.5倍に到達した場合解除。

調達資金の使途

①新規事業の開始:45百万円

小規模不動産特定共同事業者(東京都知事(1)第1号)として、一般の投資家等から小口出資を受け、それを基にマンション等の不動産を取得し、賃料収入等を投資家に分配するクラウドファンディング事業を平成30年8月から開始する予定です。

②Renosy事業の拡大のための人件費:115百万円

ユーザーが利用するアプリ、Webサイトの機能を向上するために、開発人員を増加する予定であり、そのための採用費・人件費に充当する予定です。

③広告宣伝費の拡大:1,005百万円

Renosyブランド及び当社自身の認知度向上が不可欠であることから、今後もインターネットを含む各種媒体を通じた積極的な広告宣伝を行う予定です。

企業情報

セグメント情報

同社は、「Renosy」事業の単一セグメントです。

事業等のリスク

同社が認識している事業等のリスクは、目論見書に記載されています。

・不動産取引市場の動向

・競合

・外部検索エンジンへの依存

不動産取引市場の動向でいえば、直近は地価の上昇・景気の回復・相続税対策などが追い風となり、不動産取引市場は活況を呈しています。ただし将来にかけては、人口減少や地方都市の没落などネガティブな要素をはらんでいます。将来への期待値は株価に大きく影響するので、こうしたネガティブな話題を覆す独自の強みが語られる必要があります。

競合については、参入障壁はまだ低く、過当競争に晒されるリスクは大いにあります。ITプラットフォームビジネスは寡占しなければ意味がありません。Winner Takes Allを最も体現するビジネス手法ですので、上場を契機に積極的な広告宣伝を通じて更なる知名度の向上を図っていくことになると思います。この点後述する「キャッシュあまりで上場してしまった」というのが個人的に気になるところです。目先の利益ではなく(たとえ赤字上場であっても)、もっと大きいところを見据えたストーリーを投資家に語るべきだと考えます。

外部検索エンジンの依存は、いわゆるSEO対策ですね。Google先生のアルゴリズムが変わると検索上位で表示されなくなるリスクがあります。

研究開発活動

主たる研究開発活動としては、既存アプリケーションである「Renosy Insight」のバージョンアップ、「Renosy webサイト」の開設、また、自社開発システム「Tech Series」の生産性向上のためのバージョンアップを行っています。

なお平成29年10月期の研究開発費は39百万円程度であり、それほど大規模な開発を行っていません。

設備の状況

本社の事務所用設備116百万円が主要な設備。製造業ではなく固定資産はほとんどありませんが、ITプラットフォームにかかるソフトウェア等56百万円が計上されています。

経理の状況

進行期の貸借対照表及び損益計算書の状況です。

投資活動に使うCFも年に1億円程度、販売用不動産も1億円程度であり借入金も少ない中、現預金残高が10億円超も残っているのは微妙ですね。

今回の上場に伴う手付金使途も新規事業に充てる金額が45百万円と小さく、ほぼすべての10億円程度を広告宣伝費に充てるとしています。

そうであるならば、現時点の余剰資金は、本来広告宣伝費として既に充てているべきでしょう。PLの数字を良くするために資金を寝かせてしまってないでしょうか。

ストックオプションの状況

新株予約権の目的となる株式数は、以下のとおりです。

第1回新株予約権:140,000株(行使価額358円)

第2回新株予約権:180,100株(行使価額358円)

第3回新株予約権:32,600株(行使価額1,900円)

第4回新株予約権:50,000株(行使価額1,900円)

第5回新株予約権:100,000株(行使価額1,900円)

合計502,700株

上場後の発行済み株式総数4,851,380株に占める割合は、少し10.36%と高めです。ただし行使価額は第3回以降は1,900円あり、公開価格2,510円との乖離はそれほど大きくありません。希薄化効果はそれほど気にする必要はなさそうです。

大株主の状況

最後に大株主の状況を確認しましょう。合同会社GCAは、役員等により総株主等の議決権の過半数を所有されている会社ですので、実質オーナーの資産管理会社と見て間違いないかと思います。

ファンドや事業会社に目を移すと、株式会社TATERUが大株主に入っています。同社の現況の株価推移は以下のとおりです。

6か月チャートでみるとダブルトップの下落トレンドにいるので、買いから入るかは悩ましいですね。PERも34倍と現時点で見てもそれほど割安感はありません。中長期で持つ分には、買いで良さそうですが、短期で急騰狙うと痛い目見るかもしれません。

Junichi税理士
わたしは今回様子見です。

そのほかNTTやみずほが一部出資しているようです。とはいえ議決権割合は両者を合わせても3%程度ですので、あまり影響力はなさそうです。

顧問税理士が大株主にいたり、多くの従業員に株を持たせていることは、あまりない例だと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)