アクリート(4395)上場(ipo)!|目論見書等から分かる今後の行方

2018年7月26日に上場するアクリート。同社は、高品質・高安定性・高セキュリテイを求める利用用途、大量のSMSを配信する大規模サービスを中心に、SMSコンテンツ配信事業を展開しています。

出典:同社目論見書、HP

SMS配信事業のパイオニアとして、SMS配信市場のトップシェアを誇っています。業績も綺麗な右肩上がりで申し分なく、今後の市場の成長も十分見込める分野です。

同社のIPOに至るまでの軌跡と今後の展開について目論見書等から探っていきます。


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概要

ファンダメンタルズ

過去5年間の業績推移と直近四半期から推計した業績をもとに簡易的に分析した結果です。

競合他社の状況

情報セキュリティ関連銘柄の直近(執筆時7/16)のファンダメンタルズによると、他業種に比べ、PER、PBR共に高い傾向にあります。想定されるPERとPBRは、情報セキュリティセクターの他の企業と比べて割安と判断できると思います。

出典:Kabutan

IPOスケジュール

抽選申し込み期間:7/10(火)~7/17(火)

当選発表日:7/18(水)

購入申込期間:7/19(木)~7/24(火)

上場日:7/26(木)

評価

総合評価:49点/60点 B

SMS配信市場でトップシェアを誇り、業績も文句なしです。今後の事業規模拡大に伴う組織体制(現状15名)を十分に構築できるかが今後の成長のカギになりそうです。

業種:10点/10点

情報セキュリティ分野は、PER、PBR共に高い分野で更にSMS配信サービスは同社がトップシェアを誇ります。人気の分野で寡占していることから、話題性も十分です。

事業規模:7点/10点

直近期の売上高は9億円と上場時の売上高としては小さいです。ただしSMS配信市場は、今後成長が期待される市場であり、マーケットの成長とともに事業規模は大きくなりスケールするのではないでしょうか。

収益性:10点/10点

直近四半期の経常利益率は13%と収益性は非常に高いです。これは寡占市場でトップシェアを誇ることと、to Bビジネスで広告宣伝費があまり必要ないことが大きく影響していそうです。

ビジネスリスク:8点/10点

SMS配信市場の拡大が同社の成長に不可欠です。海外ではSMS配信市場は大きく成長しているものの、国内では現状拡がりはそこまで大きくありません。市場が想定通りに拡大できるかについては、やや不確実性が残ります。

将来ビジョン:8点/10点

上場による資金使途が、事業拡大に伴うシステム投資と人件費の増加に充てられます。これからの市場で成長の果実を刈り取るためには、必要不可欠な投資です。市場の成長+マーケットシェアの更なる拡大で同社が成長していくビジョンはかなり現実的といえるでしょう。

希少性:6点/10点

オーバーアロットメントを含むipoでの当選株数は1,058,000株(売買単位100株)。当たりは10,580枚と当選本数はやや多めです。希少性の高い銘柄ほど初値が騰がりやすく期待できます。

評価ランク

A評価:54~60点

B評価:48~53点

C評価:42点~47点

D評価以下:~41点

詳細

証券情報

市場からの調達規模

市場からの調達は、公募540,000株、売出し518,000株の合計で1,058,000株を調達します。募集の条件はブックビルディング方式です。

株式の引受け

株式の引受けは、SMBC日興証券、みずほ証券、SBI証券、岩井コスモ証券、エース証券、マネックス証券です。

ロックアップ

・伊藤彰浩、BANA1号有限責任事業組合、田中優成:

ロックアップ期間180日。

・その他株主等:

ロックアップ期間180日。ただし発行価格の1.5倍に到達した場合解除。

調達資金の使途

①SMS配信サービス事業の強化のためのソフトウェア開発及び人件費:164百万円

開発するソフトウェアは、主に既存システムの機能の強化を計画しており、配信の品質とスピードの向上及びサービスの多角化の一因になります。

②本社オフィスの移転:46百万円

現本社オフィスでは、今後事業を拡大するに当たって必要な人員を収容することが困難になることから、人員拡大への対応を目的とした本社オフィスの移転を計画しています。

③人件費の増加:188百万円

事業拡大のための優秀な人材確保を目的とした人件費の増加を計画しています。

企業情報

セグメント情報

同社は、SMS配信サービス事業の単一セグメントです。

事業等のリスク

同社が認識している事業等のリスクは、目論見書に記載されています。

・市場環境に関するリスク

・事業内容に関するリスク

・組織体制に関するリスク

市場環境に関するリスクでは、SMS配信サービス市場は、グローバル市場においては多くの大手SMSアグリゲーターが存在する巨大な市場が存在しますが、日本国内においては、一般にSMSが利用されてこなかった背景から、現在のところ市場規模は大きくありません。SMS配信サービス市場は、利用用途の拡大により、利用企業数、配信通数ともに急速に増加していますが、今後新たな法的規制の導入、SMS配信が不要となる技術革新、携帯事業者の方針転換等により、当初の想定通りSMSサービス市場が発展しないリスクがあります。

事業内容に関するリスクついては、携帯電話事業者との契約関係があげられます。SMS配信サービスは携帯電話事業者のSMS配信ルートを利用して、一般ユーザーに配信しており、同社のビジネスは、携帯電話事業者との契約関係を前提にしています。したがって、携帯電話事業の新規事業者との契約が想定通り進捗しなかった場合や、SMSの配信単価の引き上げが実施された場合には、今後の業績に大きく影響するリスクがあります。

組織体制に関するリスクについては、同社は目論見書提出日現在において、取締役5名、従業員10名の小規模組織で運営しています。今後事業拡大に応じた採用活動が十分に機能しなかった場合には、事業の成長や業績に大きく影響するリスクがあります。

研究開発活動

該当はありません。

設備の状況

本社の設備22百万円が主要な設備と固定資産がほとんどありません。今後は、上場で得た資金をテコにしてSMS配信システムで168百万円の投資を予定しています。

経理の状況

進行期の貸借対照表及び損益計算書の状況です。

固定資産がほとんどなくBSは軽いですね。借入金も23百万円程度で現預金207百万円がありますから、純有利子負債はマイナスです。

PLに目を移すと、直近四半期の売上高は324百万円と通期では10億円をゆうゆう超えてきそうな勢いです。営業利益率も15.6%と極めて高い水準にあります。寡占市場のプレーヤーであることと、to Bビジネスであることから広告宣伝費がほとんどいらない点が収益性の高さの要因になっているものと思われます。

ストックオプションの状況

新株予約権の目的となる株式数は、以下のとおりです。

第1回新株予約権:232,000株(行使価額225円)

第2回新株予約権:240,000株(行使価額425円)

合計472,000株

大株主の状況

最後に大株主の状況を確認しましょう。まずBANA1号有限責任事業組合が目につきますが、これは、アクリートの分割法人であるインディゴ株式会社の取締役4名が組合員であり、直接の取引関係はありません。目論見書によると、長期的に株式を保有する方針であり、現経営陣の経営方針を支持しているとのことですから、安定株主と考えて問題なさそうです。

その他にファンドや事業会社に目を移すと、グローブアドバイザーズ株式会社が投資・運用するGA1号投資組合、GA2号投資組合が入っていますね。2016年7月設立の新しい会社ですが、IoTを中心に多数の有望スタートアップに投資しています。

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)