国税庁、仮想通貨所得の確定申告促す|税理士が解説します。

国税庁は、仮想通貨所得の確定申告を促す方針を15日に打ち出しました。金融庁や仮想通貨関連団体と協力し、仮想通貨の売却などで得た利益や納税額の自動計算、申告方法の簡略化を検討しています。

国税庁は民間企業が開発を進めている仮想通貨の損益自動計算ソフトの活用なども促し、煩雑な納税作業を改善することで適正に納税できるよう後押ししていくようです。

また一部報道によると、

国税庁は4月、金融庁や日本ブロックチェーン協会などの業界団体と納税の利便性向上についての意見交換会を開催。来年の確定申告に向け、数回の協議を重ね、年内にも仮想通貨所得の確定申告を促すための具体策を示す方針だ。

仮想通貨の売却などで得た利益の計算は、仮想通貨交換業者ごとに取引履歴データの保存方式が異なるなどの理由で難しく、計算を怠ったり、ごまかしたりして納税が滞る問題も指摘されている。

こうした問題の解決に向け、IT企業を中心に仮想通貨所得の確定申告を支援するための損益自動計算ソフトやサービスの開発が相次いでおり、国税庁はこうした民間のサービスも周知したい考えだ。

とされています。

出典:SankeiBiz

仮想通貨の具体的な確定申告方法と平成29年度の確定申告の状況については、当ブログでも取り上げました。


税理士が仮想通貨を徹底解説します。確定申告対応!!

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しかしながら、まだまだ仮想通貨の申告となると難しいイメージが世間に定着してしまっているようです。

ざっと見た中でも結構問題意識を持たれている方もいるので、今回改めてポイントになる部分をいくつか取り上げます。

雑所得一択だと思っていないか?

仮想通貨で得た所得については、雑所得だと思っている方が多いと思います。実際に原則雑所得として処理するのですが、例外があります。

法人名義で取引をしていた場合

法人名義で取引をしている場合は、仮想通貨で得た利益は法人税として納税することになります。この場合は超過累進課税(儲けが大きいほど税率が高い)がかかりませんので、法人成りを検討している方も多いかと思います。

法人として取引をしていることを立証するポイントとしては、以下の3つは最低限揃えておきたい事項です。以下が必ずないとダメだというわけではありませんが、一般に税務調査では書類が揃っているか・整合しているかといった形式的なチェックに重きが置かれますので、立証できる証拠は出来る限り抑えておきたいところです。

ポイント
・定款の事業目的に仮想通貨取引を記載する。※既に法人成りしている場合には定款変更
・法人名義の取引口座を作る
・法人名義の銀行口座を作る(法定通貨⇔仮想通貨)

個人であるが仮想通貨取引で生計を立てている場合

仮想通貨で生計を立てている方については、雑所得ではなく事業所得になります。ここでは詳しくは記載しませんが、事業所得になると損失を繰り越せたり、他の所得と合算できたりと雑所得と比べて断然お得な特典がついてきます。

その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として認められる場合にも、その所得区分は事業所得になります。

国税庁:仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)

その収入によって生計を立てているといっている以上、労働基準法等の縛りもありますので(最低賃金や就労環境など)、給与所得者については一般に難しいです。

一方個人事業主については、事業所得にできる余地があります。生計を立てていることが客観的に明らかというのは、あまり客観的な説明だとは思いませんが、要は①所得の内訳のうち仮想通貨取引が占める割合と②所得の内訳のうち仮想通貨取引に費やしている時間がポイントになると考えられます。

ここで②の時間については、単に取引所にログインしている時間だけではなく、情報収集している時間もカウントできるでしょう。むしろ情報戦の側面から、情報収集にこそ所得の源泉があるわけで、取引時間・取引回数は短くても事業所得にできる余地は大いに残されていると考えます。

ポイント
・給与所得者は難しい
・所得の内訳と時間の両面から、生計を立てるために最も貢献している事業を判断する
・時間については、情報収集している時間もカウントする

計算が難しいと思っていないか?

仮想通貨の取引の計算は、移動平均法か総平均法かの選択適用です。しかしながら、どちらか一方を選ぶとそれを継続して適用しなければなりません。移動平均法は計算が非常に手間ですが、総平均法は計算が難しくありません。また移動平均法を使おうが、総平均法を使おうが、仮想通貨取引を精算した際に、トータルで見た所得に違いはありません。毎年度納める税額が微妙に異なるだけであって通期でみれば計算結果は同じになります。

とすると、総平均法一択です。簡単に計算方法をみましょう。

例:期首に10コ100円、期中取得で50コ1000円、期中売却20コ800円の場合。手数料込み。

①取得単価の算定=1,100円/60コ=@18.3※期首+期中取得

②取得原価の算定=@18.3*20=366

③売却益の算定=800円-②=434円

期中にどれだけ売り買いがあっても合計ベースで計算できるのが総平均法の最大のメリットです。したがって取引所からcsvデータさえとりだせれば、あとは簡単な関数(sumで十分)を入れるだけで計算できてしまいます。

逆に取引所からcsvファイルが出てこない場合には、取引履歴を追って取引情報をまとめないといけないので面倒です。取引履歴もない期間については類推するしかありません。この面倒な作業は、損益自動計算ソフトやサービスでは対応してくれませんので自分で頑張るしかないです。

Junichi税理士
外部業者はCSVファイルを計算ソフトに取り込んで自動計算しているだけです。総平均法なら自分ですぐにできてしまいます。

本当に面倒なところは自分で頑張らないといけないので、わざわざ外部に委託するメリットがあまりないように思います。

まとめ

今回報道された内容については、何も真新しいものはありませんでした。しかしながら今後確定申告の簡素化に向けてのリリースが年末にかけてありそうです。引き続き当ブログでも取り上げていきます。

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東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)