チームスピリット(4397)上場(ipo)!|目論見書等から分かる今後の行方

2018年8月22日に上場するチームスピリット。同社は、勤怠管理、経費精算、工数管理などを一体化したクラウドサービス『TeamSpirit』などの提供を行っています。

 

出典:同社目論見書、HP

クラウドサービスを展開する企業は、最近のIPO市場において、初値が高騰しやすい傾向にあり注目銘柄です。

そんな同社のIPOに至るまでの軌跡と今後の展開について目論見書等から探っていきましょう。


(参考記事)

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概要

ファンダメンタルズ

過去5年間の業績推移と直近四半期から推計した業績をもとに簡易的に分析した結果です。

競合他社の状況

情報通信関連銘柄の直近(執筆時7/21)のファンダメンタルズによると、情報通信銘柄は他業種に比べ、PER、PBR共に高めです。

中でもZUU、エーアイ、ロジザードなど直近で上場した銘柄のうち、PERが100倍前後と好調な銘柄が多いこともプラス材料です。情報通信業の中でも、「ITプラットフォーム」、「AI」、「クラウド」などは高騰につながりやすいキーワードです。

出典:Kabutan

IPOスケジュール

抽選申し込み期間:8/6(月)~8/10(金)

当選発表日:8/13(月)

購入申込期間:8/14(火)~8/17(金)

上場日:8/22(水)

評価

総合評価:51点/60点 B

業種自体は、「クラウド」といったIPO市場で人気が出やすい銘柄の業種に帰属しています。また今後の成長ストーリーについても、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルの採用にみてとれます。これは長期利用により安定した収益基盤を確立する課金方式で、ユーザー数の増加が見込まれる状況下において、より強固な収益基盤をもたらします。

ユーザーにとってみても、スイッチングコストを嫌ってよほどのことがない限りは解約しません。顧客維持率の観点からも望ましい収益モデルであり、毎日使う勤怠管理システムとの相性が非常に良いと考えられます。

評価ランク

A評価:54~60点

B評価:48~53点

C評価:42点~47点

D評価以下:~41点

詳細

証券情報

市場からの調達規模

市場からの調達は、公募400,000株、売り出し152,000株の合計552,000株を調達します。募集の条件はブックビルディング方式です。

株式の引受け

株式の引受けは、野村証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SBI証券です。

ロックアップ

・Draper Nexus Technology Partners2号投資事業有限責任組合、salesforce.com, inc.、NVCC7号投資事業有限責任組合、ニッセイ・キャピタル5号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル1号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合

ロックアップ期間90日。なお1.5倍の解除制限あり。

・荻島 浩司、増山 秀信、有本 陽助、都 賢治

ロックアップ期間90日。

調達資金の使途

①人件費の増加:340百万円

「TeamSpirit」の次世代商品の開発や「Teamspirit」の競合との差別化を図るための追加機能開発にかかる人件費が170百万円、営業活動の強化及びお客様の「Teamspirit」導入支援及びサポートに係る人件費に170百万円を投資予定です。

②広告宣伝費:35百万円

デジタルマーケティングやブランディング活動等の実施による知名度向上及び見込み客獲得に係る広告宣伝費に35百万円を投資予定です。

企業情報

セグメント情報

同社は、「SaaS事業」の単一セグメントです。

事業等のリスク

同社が認識している事業等のリスクは、目論見書に記載されています。

・経営環境の変化

・クラウド市場の動向

・セールスフォースドットコムに関するリスク など

SaaS事業は企業を顧客とするビジネスモデルです。同社アプリケーションは、勤怠管理など顧客企業の従業員が毎日必ず使用する機能を提供しており、今後の国内外の経済情勢や景気動向等の理由があってもすぐに契約が解約される性質の商品ではないため、安定的な収益を見込んでいます。ただし顧客企業のIT投資マインドが減退するような場合には、新規契約数が鈍化するなどにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

SaaS事業を展開するクラウド市場は急速な成長を続けています。同社はこの市場成長傾向は継続するものと見込んでおり、その中で一定のシェアを獲得するべく、商品や営業組織の拡充を図っています。しかしながら、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、予期しないクラウド市場の成長が鈍化するような場合には、新規契約数が鈍化するなどにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

同社が顧客に提供するアプリケーションは、資本提携があり関連当事者である株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドプラットフォーム上に構築されています。セールスフォース・ドットコムの経営戦略の変更により日本でのサービス提供が廃止・停止となった場合、プラットフォーム利用料の引き上げを要求された場合、OEMパートナー契約の解除事由に抵触し、契約解除された場合などには、財政状態及び経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

研究開発活動

該当事項はありません。

設備の状況

本社設備等で15百万円程度であり、減価償却費負担など大きくありません。また今後の設備の新設や除却等の計画もなしです。

経理の状況

進行期の貸借対照表及び損益計算書の状況です。

長期借入金110百万円については、現預金886百万円があるため、上場で得た資金を借入金の返済に回すことなく、成長への投資(人件費、広告宣伝費)にオールインできます。

また売上総利益率60.9%、営業利益率8.2%と収益性は高いものの販売費及び一般管理費の計上の多さが気になるところです。

販売費及び一般管理費の内訳を見ると、給与手当と広告宣伝費がその多くを占めていることが分かります。粗利率は非常に高いサービスですので、こうした固定費も売上高の増加とともに吸収され、営業利益率も今後大きく改善されていくことが想定されます。

ストックオプションの状況

ストックオプションの発行状況は以下のとおりです。

・第1回ストックオプション:目的となる株式数180,000株(行使価格70円)

・第2回ストックオプション:目的となる株式数200,000株(行使価格100円)

・第3回ストックオプション:目的となる株式数20,000株(行使価格100円)

・第4回ストックオプション:目的となる株式数50,000株(行使価格100円)

・第5回ストックオプション:目的となる株式数50,000株(行使価格100円)

・第6回ストックオプション:目的となる株式数32,000株(行使価格100円)

・第7回ストックオプション:目的となる株式数120,000株(行使価格450円)

・第8回ストックオプション:目的となる株式数110,000株(行使価格450円)

・第9回ストックオプション:目的となる株式数30,000株(行使価格675円)

合計762,000株

ストックオプションの目的となる株式数は、上場後の発行済み株式総数8,102,000株の9.4%程度であり、希薄化効果を考慮する必要があります。

大株主の状況

最後に大株主の状況を確認しましょう。

ファンドや事業会社ががっつり入っていますね(笑)ロックアップ期間は90日ですが、1.5倍のトリガー条項がついていますので、一定の売り圧力にはなるでしょう。

ただしここまで見てきた通り、非常に成長性が高いビジネスモデルです。一時的な需給バランスの崩れで株価が下がったタイミングで買い入れておくと良さそうです。

 

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)