アイリックコーポレーション(7325)上場(IPO)|目論見書等から分かる今後の行方

2018年9月25日に上場するアイリックコーポレーション。同社は、個人及び法人向けの保険販売を行っている保険販売事業、保険代理店やその他の保険販売会社に対して保険に関するソリューションを提供するソリューション事業及びシステム開発等を行っているシステム事業を行っています。

出典:同社目論見書、HP

同社のIPOに至るまでの軌跡と今後の展開について目論見書等から探っていきます。

概要

ファンダメンタルズ

過去5年間の業績推移と直近四半期から推計した業績をもとに簡易的に分析した結果です。

競合他社の状況

生命保険関連銘柄の直近(執筆時9/13)のファンダメンタルズによると、生命保険関連銘柄は他業種に比べ、成熟企業が多くPER、PBR共に低い傾向にあります。

出典:Kabutan

IPOスケジュール

抽選申し込み期間:9/5(水)~9/11(火)

当選発表日:9/12(水)

購入申込期間:9/13(木)~9/19(水)

上場日:9/25(火)

所感

想定価額1,410円で試算すると、PERが30倍と同業種と比べて割高です。またビジネスモデルに目を向けると、同社の収益の多くは保険代理店となるフランチャイジーからの手数料・ロイヤルティ収入に依存しています。自前の保険販売事業による売上高が全体の過半数を占めるものの、セグメント利益への貢献はそれほどありません。

中長期で見るとフランチャイジーの拡大が利益拡大のポイントになりそうですが、これには現状のシステムを更に改良強化し、他社と差別化できるコンサルティングツールをフランチャイジーに提供することが欠かせません。

現状はさらなるシステム開発に着手する段階ですので、成長可能性については話半分といったところでしょうか。上場日の近いSBIインシュアランスに投資マネーは流れるように思います。

証券情報

市場からの調達規模

市場からの調達は、公募620,000株、売り出し(OA含む)208,000株の合計828,000株を調達します。募集の条件はブックビルディング方式です。

株式の引受け

株式の引受けは、野村証券、いちよし証券、藍澤証券、エース証券、水戸証券、むさし証券、マネックス証券、SBI証券です。

ロックアップ

※()内は株式保有比率

・Nihon IFA Partners Ltd(41.54%)、住友生命保険相互会社(6.42%)、FWD富士生命保険(株)(3.02%)など

ロックアップ期間90日。

・勝本竜二(25.46%)、勝本伸弘(3.54%)、半澤勝広(3.29%)など

ロックアップ期間180日。

資金調達の使途

①既存システムの機能強化及び新たなシステムの研究・開発等に係る資金、②直営店の新規店舗の出店に係る資金、③事業拡大のための運転資金として充当する予定です。

事業等のリスク

・保険会社との関係について

・FC店及び当社システム提供先について

・システムセキュリティについて など

システムを利用した商品比較及び顧客の意向に基づいた絞り込み等によるコンサルティング営業を展開していますが、顧客ニーズの変化や商品力の優劣変動により、特定の保険会社への依存度が上昇し、その結果、特定の保険会社の営業政策等の影響を受ける可能性があります。

またFC店もしくは同社システム提供先に発生した想定外の事態等によって「保険クリニック」や当社システムのブランドが毀損するリスクがあります。

セグメント情報

同社のセグメントは、①保険販売事業、②ソリューション事業、③システム事業の3つに区分されます。

内訳を確認すると、セグメント利益の大半をソリューション事業が稼ぎ出していることが分かります。ソリューション事業は、フランチャイズ展開しオーナーから収受するロイヤルティ料がその大半です。

したがって、同社は保険商品を使ったフランチャイズビジネスが肝といえるでしょう。自社システムを提供することで、フランチャイジーの営業活動をサポートしていますので、これがどれだけフランチャイジーにとってメリットがあるものと受け入れられるかが重要です。

研究開発活動

金額的に重要な投資はありません。

設備の状況

設備は本社の建物附属設備と直営店舗の建物付属設備が大半を占めています。今後直営店舗を8店舗ほど増やし、さらに既存システムの改良強化のための投資を積極的に行っていきます。

経理の状況

進行期の貸借対照表及び損益計算書の状況です。

直近四半期では、売上総利益率15.4%、営業利益率4.0%を計上しています。他のIPO銘柄にあるような際立った収益性の高さはありませんから、厳しい競争環境下にある市場で勝負していることが分かります。売上成長率もそれほど大きくありませんから、頭打ち感が出る中、市場の評価は厳しくなりそうです。

ストックオプションの状況

ストックオプションの発行状況は以下のとおりです。

・第1回ストックオプション:目的となる株式数200,000株(行使価格830円)

合計200,000株

ストックオプションの目的となる株式数は、発行済み株式数の10%未満であり、希薄化効果はそれほどありません。

大株主の状況

最後に大株主の状況を確認しましょう。

筆頭株主であるNihon IFA Partners Ltdは、ファラロン・キャピタルが関係する投資ファンドで41.54%を保有しています。今回売り出しに出しておらず、ロックアップ期間が90日間設定されています。安定株主になるとはあまり考えられませんから、かなりの売り圧力になりそうです。

他は各保険会社が株主として入っています。彼らは取引先でもあるので、キャピタルゲイン狙いの無茶な売りはしないでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)