ワールド(3612)再上場!!(ipo)|目論見書等から分かる今後の行方

2018年9月28日に上場するワールド。同社は、主に婦人・紳士・子供服等の企画販売等を行っています。

出典:同社目論見書、HP

同社のIPOに至るまでの軌跡と今後の展開について目論見書等から探っていきます。

概要

ファンダメンタルズ

過去2年間の業績推移と直近四半期から推計した業績をもとに簡易的に分析した結果です。

競合他社の状況

アパレル関連銘柄の直近(執筆時9/21)のファンダメンタルズによると、アパレル銘柄は、ファーストリテイリングやスタートトゥデイといったリーディングカンパニーを除き、他業種に比べ、PER、PBR共に低い傾向にあります。

出典:Kabutan

IPOスケジュール

抽選申し込み期間:9/11(火)~9/14(金)

当選発表日:9/18(火)

購入申込期間:9/19(水)~9/25(火)

上場日:9/28(金)

所感

想定価額3,630円で試算すると、PERが9倍、PBRは1倍と同業種と比べて割安です。

需給の面では公募・売り出し合わせて18,492,000株は厳しいですね。昨今のIPO市場の冷え込み(初値天井が多い)と需給面での厳しさを考慮にいれたのか、公募価格は2,900円と仮条件の下限で着地しました。メルカリはじめここのところのIPOは仮条件の上限一杯で決まることが多かったので、潮目が変わってきています。

数字は売上・利益ともに爆発的な成長はありませんが、堅調で地に足がついた業績です。アパレル事業以外にも投資事業が大きく収益に貢献している点が他社との大きな違いといえるでしょう。アパレル以外の領域でのブランドの拡充やバリューチェーンの補強のため、今後も企業買収及び出資等を行う方針です。アパレル事業で地に足の着いた業績を積み上げ、投資事業が大きな成長オプションとして育ってくれば面白いと思っています。

MBOによる非上場化と今回再上場する理由については、以下のように説明しています。アパレル事業を基盤に投資事業やプラットフォーム事業で大きな成長を遂げたいとする会社の意志が伝わります。

(MBOの目的)

短期的な業績の変動に左右されることなく、最適なポートフォリオの構築に取り組み、グループ内でのプラットフォームを強化することなどで、中長期業績の成長可能性を高めたいという、当時の当社経営陣の思いを実現する手段としてMBOを実施しました。

(MBO後の再上場について)

既存ブランド及び新たなブランド等への投資などにより、ポートフォリオの市場最適化の徹底に取り組む戦略指針を現在遂行しています。一連の戦略指針を着実に実現していくためには、財務体質の一段の健全化に加え、戦略投資にも耐え得る資金調達手段の確保が不可欠です。加えて、これまでとは異なるステージへスピードをもって成長していくためには、外部株主の厳しく規律あるコーポレートガバナンスの視点を入れることも有益だと考えています。

ファッション産業を取り巻く業界環境も大きく変化しており、またMBOの目的であるアパレルバリューチェーン上のプラットフォーム構築にもいったん目途がついた今こそ、今後の当社グループの成長においては、ここまで整備してきたプラットフォーム事業の収益化及びファンド等も活用したポートフォリオマネジメントの適切な運用、デジタル事業などへの先行的な戦略投資を集中的に行う必要があると認識しています。

構造改革プランの完遂で「利益の出やすい体質」になったこともあり、一定の環境変化にも対応可能な収益管理体制は強化されたと認識しており、外部株主の高い要求に応えることが継続的に求められる資本市場に身を置く上場企業になることこそが、それを実現できる方法であると考えられ、このことが再上場する理由です。

出典:新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)

以上を勘案すると、業績の上方修正や画期的なIRを期待しての投資には向いていません。直近の業績は良くも悪くも手堅く推移していくことが予想されます。投資事業やプラットフォーム事業での果実は数年先になりそうですので、長い目で見守るのがいいのではないでしょうか。需給が厳しいですので、地合いを見ながら、じっくり取り組んでいきたい銘柄です。

証券情報

市場からの調達規模

市場からの調達は、公募14,850,000株、売り出し(OA含む)3,642,000株の合計18,492,000株を調達します。募集の条件はブックビルディング方式です。

株式の引受け

株式の引受けは、野村証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、SBI証券です。

ロックアップ

ロックアップに関しては、筆頭株主のUDSコーポレート・メザニン2号投資事業にロックアップがかかっていません。

※()内は株式保有比率

ロックアップなし

・UDSコーポレート・メザニン2号投資事業(29.46%)

ロックアップ期間180日

・寺井 秀藏(9.84%)

・小泉 敬三(8.66%)

・畑崎 重雄(7.43%)など

資金調達の使途

主に優先株式の取得費用、システム投資、戦略投資及び事業投資として充当する予定です。

①優先株式の取得

・2018年9月28日:4,002百万円

・2018年12月末:6,208百万円

②システム投資

成長資金として、ファッションの全業務領域に渡ってフルカバーするデジタルソリューション事業強化のための投資及びファッションとテクノロジーが融合したファッションテックなどデジタル事業への投資

・2019年3月期:4,599百万円

・2020年3月期:3,879百万円

・2021年3月期:1,606百万円

③戦略投資・事業投資

今後の成長のための戦略投資及び事業投資として、2019年3月期以降、株式会社ティンパンアレイの完全子会社化及び株式会社キャンプファイヤーへの出資等を実施しています。同社は、アパレル以外の領域でのブランドの拡充やバリューチェーンの補強のため、今後も企業買収及び出資等を行う方針であり、2019年3月期、2020年3月期及び2021年3月期に、当社又は当社子会社による非アパレルやファッションテックに対する戦略投資に10,000百万円、当社グループにおいてアパレル事業への事業投資を行う株式会社W&Dインベストメントデザインの出資枠に10,000百万円を充当する予定です。

セグメント情報

同社のセグメントは、①ブランド事業、②投資事業、③デジタル事業、④プラットフォーム事業で構成されています。

中でも収益に大きく貢献しているのはブランド事業と投資事業です。

設備の状況

設備は、北青山ビルの土地20,267百万円が主要な内容で、その他本社ビル等の建物及び構築物、店舗にかかる資産が計上されています。

今後の設備計画においては、ブランド事業における新規出店に加えて、デジタル事業に10,083百万円投資していく予定です。デジタル事業は、ファッションとテクノロジーが融合したファッションテックなど新規事業・市場の開拓に必要な投資として位置づけられています。

経理の状況

進行期の貸借対照表及び損益計算書の状況です。

直近四半期では、営業利益率10.9%を計上しています。29/3期及び30/3期も営業利益率5%程度を計上しており、業績に安定感があります。一方で売上高は近年横ばいで大きな成長はありません。

大株主の状況

最後に大株主の状況を確認しましょう。

UDSコーポレート・メザニン2号投資事業にロックアップがかかっていません。上場後にエグジットする予定でしょうから、かなりの売り圧力になります。

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)