ギフト (9279)上場!!(ipo)|目論見書等から分かる今後の行方

2018年10月19日に上場するギフト。同社は、横浜家系ラーメンを主体とした直営店の運営(直営店事業部門)、ならびにプロデュース店への食材提供や運営ノウハウ供与等(プロデュース事業部門)を展開しています。

直営店舗の他、経営ノウハウを活かしたフランチャイズ展開も大きく広げています。

出典:同社目論見書、HP

今回上場するにあたり、人気Youtuberを使った広告宣伝等、メディア露出が増えてきました。それではさっそくIPOに至るまでの軌跡と今後の展開について目論見書等から探っていきます。

出典:ぷろたん日記 町田商店 渋谷店

概要

ファンダメンタルズ

過去2年間の業績推移と直近四半期から推計した業績をもとに簡易的に分析した結果です。

競合他社の状況

外食関連銘柄の直近(執筆時10/08)のファンダメンタルズによると、外食関連銘柄は、他業種に比べ、PER、PBR共に高い傾向にあります。

特にうかい亭や串カツ田中といった他社にはない独自の強みを売り出している銘柄は、IoT、RPA、クラウドといった人気業種と遜色ないPERの水準にあります。

出典:Kabutan

IPOスケジュール

抽選申し込み期間:10/2(火)~10/9(火)

当選発表日:10/10(水)

購入申込期間:10/11(木)~10/16(火)

上場日:10/19(金)

所感

想定価額1,900円で試算すると、PERが14倍、PBRは3倍と同業種と比べて割安です。

需給の面では公募・売り出し合わせて1,182,200株はやや厳しいですね。

数字は売上・利益ともに全体としては、順調に増加しています。とはいえ、懸念材料はいくつかあります。

まず一つ目が海外店舗の不振です。現状はアメリカ、シンガポールに3店舗(シンガポールは閉鎖予定)出ていますが、いずれも債務超過で多額の減損損失を計上するに至っています。海外戦略は今のところ芳しくありません。

SNSをみると海外展開への見解は総じて好意的でしたが、現状の厳しさはきちんと数字で認識しておかなければいけません。

2つめに懸念されるのが、人件費の高騰です。国内では人材不足により単純ワーカーであっても引くてあまたな状況です。つい先日も吉野家HDの赤字転落がニュースになるほどです。

特に首都圏の人材獲得競争は熾烈さを増しており、店舗拡大が成長の前提となる同社のビジネスモデルにおいて、きちんとした人材を適正な単価で集められるかという点は、簡単なようで難しい経営課題でしょう。

安易に人を増やしてオペレーションの質が下がった結果、かつてのチカラめしのように急速にシェアを失うリスクをはらんでいます。競合他社が多い市場です。少しでも味と価格のバランスが崩れると消費者離れが加速します。

以上を勘案すると、現状の数字は素晴らしいものの、将来への過度な期待を持った拙速な投資行動はおすすめできません。競合他社も多い業種ですので、既存店・新規店の月次売上推移、海外店舗の状況など、数字の裏付けが確認できてからポジションを取りたいです。

証券情報

市場からの調達規模

市場からの調達は、公募600,000株、売り出し(OA含む)582,200株の合計1,182,200株を調達します。募集の条件はブックビルディング方式です。

株式の引受け

株式の引受けは、野村証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、みずほ証券、いちよし証券、SBI証券、エース証券、岩井コスモ証券です。

ロックアップ

大株主にはしっかりロックアップがかかっています。一部ロックアップのかかっていない株主もいますが、全体に与える影響は無視できるレベルです。

資金調達の使途

① 事業規模拡大のため新規に開店を予定している国内直営店舗21店舗の建物などの固定資産
→平成31年10月期に735百万円を充当予定

② 新規出店のための敷金などの差入保証金
→平成31年10月期に202百万円を充当予定

セグメント情報

同社のセグメントは、飲食事業の単一セグメントです。なお事業部門ごと地域別の販売状況は、以下のとおりです。

直営店とフランチャイズの割合では、現状直営店舗が70%超を占めています。また海外比率では、現状進行期の海外売上高は3億円弱と全体に占める割合は大きくありません。

設備の状況

主に設備は店舗にかかる建物付属設備と器具備品です。その他に製麵工場における機械・設備があります。設備投資計画で見ると、国内での出店にくわえ、アメリカでの出店計画があるようです。

気になるのは、海外店舗での減損損失でしょうか。現状シンガポール・アメリカに展開していますが、いずれも減損損失を計上しており、営業キャッシュフローは継続してマイナスな状況が読み取れます。

経理の状況

進行期の貸借対照表及び損益計算書の状況です。

直近四半期では、営業利益率12.0%と高い収益性を確保しています。粗利率69%が高収益の原動力と味とのバランスがどうなのか気になります。粗利率の計算には、直接労務費や直接経費は入っていますので、単純に原材料費は圧倒的に低いです。

大株主の状況

最後に大株主の状況を確認しましょう。

株式会社グローウィングは社長である田川氏に関連する法人と考えられます。両者を合わせて80%超の持ち株比率です。事業会社では、一風堂を展開する力の源ホールディングスが株主として名を連ねています。海外展開のノウハウなどは、先行する力の源ホールディングスの助力があったものと想像します。

その他エグジット狙いで売り圧力となるようなファンドなどは大株主に入っていません。

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)