高級車(フェラーリ・ポルシェ)を使って脱税!?国税局に摘発された脱税スキームを税理士が解説

平成30年10月、フェラーリなど高級外車の売却益を巡り、約20の法人と個人が東京国税局や関東信越国税局などから相次いで所得隠しや申告漏れを指摘されていたことが、新聞各社の報道で伝えられています。

所得隠しは2017年までの数年間で計約8億円。申告漏れだけを指摘されたケースも含めると総額は25億円を超える。背景には、富裕層の納税意識の低さが浮かび上がる。

関係者によると、所得隠しや申告漏れを指摘された法人は、社有車を転売した東京都武蔵野市の化粧品販売会社のほか、中野区や川崎市の自動車販売会社など約10社。個人は目黒区の自動車輸出入会社の元社長や港区の歯科医、茨城県の呉服店社長など十数人に上る。

こうした法人や個人は17年までの数年間に、大田区や千葉県の車輸出入会社などにフェラーリやポルシェなどの高級外車を転売。それぞれ数百万円~1億数千万円の売却益を得たが、申告していなかった。

(出典:読売新聞)

高級車を使った脱税について、どのようなことが行われていたのか、詳しく解説していきます。

社用車を使った節税

社用車を使った節税は昔から行われている古典的な手法です。法人名義で車を購入し、これを事業の用に供しているということで、法人の資産に計上するわけですね。

資産に計上した車両は、毎期決算時に減価償却費を計上し、資産価値が減耗していきます。

減価償却費とは、企業が長期間にわたって利用する資産を購入した場合に、その購入価額をいったん資産として計上した後、当該金額を資産の耐用年数にわたって規則的に費用として配分する金額です。

税法では、該当する資産ごとに償却方法と耐用年数を定めています。

出典:税理士法人(仮)

したがって税法に則って資産を減価償却する場合には、減価償却費相当額が毎期費用として計上され、課税所得を圧縮する節税効果をもたらします。

法人が社用車を使って節税するという時は、減価償却費を利用することによって節税するんだなということがピンとくると素晴らしいです。

なぜ中古の高級車が重宝されるのか

社用車を使って節税するといった時に車だったらなんでもいいわけではありません。節税効果を最大限に狙うにはどうすればいいのでしょうか。

まず新車か中古かという議論ですが、節税効果を短期に受けたい場合には断然中古車です。

新車で社用車を購入した場合の耐用年数は普通車で「6年」です。イメージとしては、6年間にわたって購入価額が費用に計上されていくと考えましょう。

一方で中古車の場合は、以下のとおりの耐用年数になります。

・耐用年数を経過していた場合→2年

・耐用年数を経過していない場合→法定耐用年数−(経過年数×0.8)※1年以内の端数切捨て

(注意)

中古車という資産を事業用に利用するために支出した金額が、中古車の再取得価額(同じ車種・グレードのものを、新品で購入するための金額)の50%を超える場合は、法定耐用年数が適用されます。

最短で2年で減価償却することができるわけです。よく4年落ちの中古車が節税に有利だ!といわれるのは、普通車の場合4年経過時に耐用年数2年を適用することができるからです。

そして車両の購入価額は、高ければ高いほど減価償却効果が高まります。軽自動車を購入してもさして減価償却費は計上されませんが、これが高級車だと減価償却効果は無視できません。

4年落ちで2,000万円するような中古車を購入した場合には、一年で1,000万円が単純計算で減価償却できます。高級車ほど節税効果が高いので、お金持ちであれば、高級車を選択するケースが多くなるわけです。

売却益の簿外処理は極めて悪質

さて、減価償却することで節税できることはここまでお分かりいただけたと思います。

ここで保有資産を売却した場合はどうでしょう?

仮に4年落ちの中古資産を2年保有した場合、既に減価償却済みですので、帳簿価額はゼロです。したがって売却額がそのまま売却益になり課税所得として計上されます。売却額が1,000万円だとすれば、売却益も1,000万円です。

今回の脱税のケースでは、売却を簿外処理(例えば個人口座に振込せるなど)することで、売却額相当額を脱税していたものと思われます。

これは保有期間は減価償却費を計上することで、課税所得を圧縮することに加えて、売却額相当額を簿外処理することで課税所得の増加を逃れており、二重どりです。

極端な話、2年で4年落ちの高級車を乗換続けた場合、半永久的に高額な減価償却費が計上され続けるわけです。

特にフェラーリやランボルギーニといった車種は中古車であっても資産価値はそれほど目減りせずに、むしろクラシックカーにおいては資産価値が増加するケースも多々あります。

出典:The Economist

今回のケースは税法の減価償却費と実態がかけ離れている点を利用しています。減価償却費のタックスメリットを最大限に享受した上で、売却益を隠ぺいするために、転売額を簿外処理(帳簿に計上しない)するような行為は、極めて悪質なケースといえます。

「知らなかった」では済まされるず、仮想隠ぺいによる重加算税の対象になるでしょう。

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東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)