税理士がおすすめ!!個人事業主が開業後長く続けるためのポイント3つ

仕事を経験した人ならだれでも一度は考えたことのある独立開業。サラリーマンとは違い全て自分の裁量で仕事をすることができ、自分次第で収入がいくらでも上げられる可能性があるのは非常に魅力的です。その反面リスクも大きく、個人事業で開業した人のうち開業から1年後も続いている人は62.3%、10年後はわずか11.6%と非常に厳しい数字が並んでいます。

ただし、10%強の成功している人がいるのも事実です。今回は開業で失敗する人と成功する人の差は何なのか、また成功するにはどんなことをすればいいのか、「お金」という観点から解説していきたいと思います。

すでに起業・開業している方、数人規模の法人にも役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。

 

成功した人=収入がすごく多い人?

 

そんな風に思っていませんか。実際はそうとも言えません。

実は、開業に成功し長く続けられる人は、爆発的な収入を得ていたり、異常なまでに経費がかからなかったりしているわけではありません。コツコツと利益を年々積み上げていき、気づいた時には遥か高いところに登っていた。そんな感覚をお持ちの方がほとんどです。

では、何が成功と失敗の差を分けているのでしょう。多くの事業主さまと関わる税理士の仕事を続ける中で、長く事業を続けている人たちは、次にあげる3つのことを継続していることが分かりました。

生活費やプライベートで引き出す金額を固定する

個人事業で失敗する人は、資金面でみると大きく2つのタイプに分かれます。一つは経営や生活に必要な収入を得られずに資金が回らなくなる人、もう一つは事業のお金と生活費やプライベートのお金に区別をつけず、大半を自分のお金として使ってしまい経費の支払ができなくなってしまう人です。

特に後者のパターンは次のようなケースが多く見られます。開業すると少なくとも月に50万円、業種によっては200~300万円のお金が通帳から頻繁に出入りします。このため、お金がたくさんあるような感覚に陥ってしまいます。特に開業資金で借入をしたときはいきなり1,000万円以上のお金が振り込まれることもあるため、これくらいなら大丈夫だよね・・・とお金にルーズな人はつい生活費やプライベートなものに使ってしまうというケースです。

また、売上や利益に応じて生活費を変える方もいらっしゃいますが、これもあまりオススメできません。なぜなら、生活費は最低限必要な金額があるため、売上や利益がそれを下回っても結局使わなければならないこと、さらに売上や利益が多くなった時、売れなかったときの補填として多めに通帳から引き出してしまい、結局ずるずるとお金を引き出すことになりがちなためです。

開業で成功している人は事業用とプライベート用の通帳を分け、毎月決まった日に一定の金額をプライベート用の通帳に移すことで事業と生活費のお金を区別しています。公私をきちんと使い分けることで、事業の収支を一歩引いた目線から俯瞰することができます。

売上と経費を予測する(利益目標を作る)

売上目標を作りそれに沿って事業を行う方はたくさんいらっしゃいますが、経費や利益を意識する方は意外に多くありません。開業後の経営における生命線はもちろん売上ですが、最終的には売上から経費や生活費などを差し引いたお金がどれだけ手元に残っているかが一番大事になります。損益分岐点を意識できるかが開業を成功させるポイントです。

とはいえ、どう意識していけばいいかイメージがつきにくいでしょう。そこでオススメなのが売上と経費の一覧表を作ることです。イメージは下記のようなものになります。

ここで、表を作成する際のポイントが2つあります。

1.経費から入れていく

ほとんどの業種での経費は、仕入以外の項目は毎月それほど金額が変わるものではありませんので、まずは最低限どのくらい経費がかかるかを集計します。イメージの表でいえば1月の経費の合計が48万円ですね。すると利益がプラスになるためには売上から仕入を引いた残額(粗利益といいます)が48万円を超えないといけないことがわかります。仮に仕入値が売上の50%だとすると・・・

48万円 / 50% = 96万円

と、96万円の売上で利益がちょうどゼロになります。このように、経費から入れることで最低限必要な売上がわかるため、これをもとに利益がどれくらい欲しいかで売上と経費の目標を設定することができます(利益の中から生活費などをまかわなわければいけない点は注意しましょう)。できてば1年後まで予測を立てておくといいでしょう。

2.定期的に修正していく

頑張って作った表ですが、実際の経営では想定していた通りに進むことはほとんどありません。特に売上が思っていたより少ない、想定外の出費などで手元に残るお金が想定より少なかったということはよくあります。ここで大事なのが表を都度修正していくこと。毎月初めには前月の売上と経費を集計し、当月以降の売上が最低限どれだけ必要かを出していきましょう。

集計の方法として一番オススメなのは、会計ソフトで帳簿をつけることです。この方法ですと仕訳を入力すれば借入金の返済や事業主給与以外は全て網羅された表(損益計算書と言います)が出来上がりますし、何より確定申告の青色申告に必要な要件(複式簿記)を満たすことになりますので、確定申告の作業負担も非常に少なくなります。もし会計ソフトを使うのが苦手というのであれば、簿記の知識がある周りの方や専門家に依頼するのもいいでしょう。

資金繰り表を作る

前述の表を作ることで毎月の収入と支出を把握し、月単位で利益の計画を立てることが大事なことをお話ししました。しかしこれだけでは十分ではありません。

その原因は、売上や経費が100%資金の増減と連動していないことにあります。例えば、1月に100万円売上があったとしても、それが入金されるのは翌月とします。2月の売上が120万円とすると、2月は売上120万円なのにお金は100万円しか入りません。他にも在庫や固定資産の購入、税金の支払いなど、売上や経費の計上時期とお金の流れにはタイムラグやそもそも計上されない部分があるため、これらを加味した表を作らなければなりません。

具体的には、下表のような形になります。

この表を作るにはある程度会計の知識が必要となりますので、大変かもしれません。その場合は入出金をベースとした収支表(家計簿みたいなものでOK)を作りましょう。ただ、確定申告時用で別に損益計算書を作らなければならず、二度手間にはなります。もしそれが大きな負担になるということであれば、計画表から資金繰り表まで作成してもらえ、定期的に打合せながらこれらの表をメンテナンスするサービスを行う税理士や公認会計士がいますので、相談してみるのもいいでしょう。

※もちろん税務相談や確定申告等もワンストップでおまかせできます

まとめ

開業に成功する人は単に売上を出すのが得意、必ず儲かる事業をしているというわけではありません(もちろん最低限の売上を出すということは必須ですが)。むしろ必要最低限の経費から売上の下限を決めたり、自分が欲しい収入から逆算して売上目標を立てたりと、事前に計画を立てた上でトライ&エラーを繰り返す人が成功しています。また事業用とプライベートのお金をしっかりと区別してやりくりすることも大切です。

ただ、これを一人で行うのは非常に大変です。お金の区別も自分だけで管理するとだとなあなあになりやすいですし、利益の予測や資金繰り表の作成は専門的な知識はすぐにできるものではありません。

できれば経理・財務の経験がある家族や信頼できる友人などに協力してもらったり、資金的に余力があれば、税理士や公認会計士などの専門家に依頼することで自身は本業の売上を追うことに集中することができます。

なお専門家を選ぶ際のポイントとして、税理士や公認会計士というとバックオフィスとしての役割を期待されるケースがほとんどですが、開業当初のサポートはここまで見てきた通り二人三脚です。税法や会計の知識以上にビジネスマインドを持った先生であるかどうかといった視点をもって検討されるとミスマッチを防げるように思います。

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)