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2018.12.11
  • 会計税務顧問

配偶者(妻・夫)が事業を手伝うなら青色事業専従者給与を活用しよう。

配偶者(妻・夫)が事業を手伝うなら青色事業専従者給与を活用しよう。

開業・創業したての頃は、人を雇いたくても金銭的・時間的な余裕がなく、家族、特に配偶者(ご主人や奥さん)が事業を手伝うということがよくあります。そんな時は配偶者に給与を払うことで経費を増やし、節税を行うことができます。これを青色事業専従者給与と呼びます。

今回の記事では、青色事業専従者給与を使った配偶者への給与について、個人事業主向けに使える条件や手続きの方法、注意点について解説していきます。

Contents

青色事業専従者給与が使える条件

冒頭触れた青色事業専従者給与とは、事業主が配偶者に払う給与のことで、一般の給与とは区別されることとなってます。それは、原則として配偶者に対する給与は経費として認められないところからきています。

たとえば、利益がたくさん出そうなときに配偶者の給与を一時的に大きく上げて節税する。毎月100万円の給与を帳簿上は上げておいて、実際には支払わないなど、配偶者への給与は一般の人へ払う給与と違い金額をコントロールしやすいからなのです。規制をもうけないとこのような経費水増しが簡単にできてしまうので、このような規制が設けられています。

ただ、実際には夫婦で事業を切り盛りしたり、その労働に対して給与を払うというのは普通に考えたら当たり前のことです。そこで、事前に税務署へ届出をすることで配偶者に払う給与を経費にすることができる制度があります。それが青色専従者給与です。

なお青色専従者給与が使える条件は以下の通りです。

 1.所得税の青色申告承認申請書を提出している

 2.青色事業専従者給与に関する届出を提出している

青色申告承認申請書は開業届と一緒に提出していると思いますので、ここでは青色事業専従者給与に関する届け出について説明します。

青色事業専従者給与の適用を受けるための手続き

青色事業専従者給与に関する届出は、『私はこれから配偶者に毎月15万円、ボーナスで年に1回20万円を給与(賞与)としてはらうので、経費にさせてください』と事前に申請をし、これが常識の範囲内であると税務署が判断すれば、届出をした範囲内であれば経費として認められるという内容のものです。したがって、開業後、配偶者の給与を経費にしたい、給与を出す可能性があるという場合には、必ず出しておきましょう。

なお、この届出を出すときに支払予定の金額を記入する欄(給与・賞与)がありますが、ここは支払予定の額より多めに書いておきましょう。

なぜなら、申請書に書いた金額=支払ができる専従者給与の限度額だからです。

事業がうまくいって経費として専従者給与を増やしたいと思っても、その時に申請書の金額一杯を払っていたら変更の届出を出さないといけないからです。頻繁に変更の届出を出していると何もしていなくても税務署から怪しい目で見られる原因にもなりますので、最初に多めの金額出しておくことで融通も利かせやすくしておきます。

また、青色専従者給与を払う場合は給与支払事務所であることを届出しなければならないので、配偶者が初めて給与を支払う相手だというときは、

 給与支払事務所等の開設届出

も合わせて提出しなければなりません。忘れずに提出しましょう。

また、給与支払事務所の届出を出すと毎月給与から所得税を天引きし、それを翌月10日までに納付しなければなりません。

ただし、

 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

を提出することにより、年に2回、半年分をまとめて納付することができますので、毎月納付するのが大変だというときには、こちらも併せて提出しましょう。配偶者しか給与を払う人がいないというときは半年分でもそれほど大きな金額になりませんので、事務作業を効率的に行う面でも提出しておくのがオススメです。

もし手続きが面倒、自分で届出するのに自信がないというときは、税務署や税理士へ相談するのもいいでしょう。

青色事業専従者給与を払うときの注意点

青色専従者給与に関する届出を出せば、無条件で給与が全て経費になるわけではありません。また、給与として払いすぎると、社会保険などの扶養範囲からはずれてしまい、結果的に余計なお金を払う羽目になる場合もあります。ここではこれらの注意点について解説します。

専業でないと適用できない

専従者給与は読んで字のごとく『事業に専従している者へ支払う給与』です。したがって、他の会社で社員やアルバイトとして働いていたり、配偶者自身も自分の事業をしている場合は認められません。メインで事業の手伝いをしているときにのみ適用できる点は気を付けましょう。

130万円の壁

青色専従者給与も立派な収入になりますので、その収入が103万円を超えた時は所得税が発生します。

ただし、その金額はそれほど多くないため、事業の経費にできることと比べたら大きな問題ではありません。また平成30年から配偶者控除の改正も行われ、収入が150万円以内であれば基本的に満額(38万円)の所得控除を受けられるようになりました。

したがって、所得税に関しては青色専従者給与の金額が大きくてもそれほど問題ではありません。

一方で、収入が130万円を超えると健康保険の扶養に入れられなくなる点は要注意です。こうなると配偶者自身で健康保険に加入しなければならず、月数万円の支払が出ることもあります。もちろん、この支払は経費にすることができません(配偶者の所得控除にすることはできますが、保険料の支払額と比べたら微々たるものです)。

必ず支払の証拠を残す

青色専従者給与は配偶者への支払なので、一般の従業員と違い資金繰りが厳しい時は払わないということも容易にできることが考えられます。悪質な場合は給与を帳簿上だけ経費に計上し、実際には一切払っていないということも考えられます。

したがって、もし税務調査で青色専従者給与の支払履歴が残っていなかった場合、最悪の場合は全て経費として認められなくなってしまう可能性もあります。この場合の追徴税額はかなりの金額になる可能性がありますので、極力お店の口座から配偶者の口座へ直接振り込むなどで証拠を残しましょう。

おわりに

青色専従者給与のシステムは開業したての方には非常に心強い制度ですが、その性格上手続や運用にはそれなりの配慮が必要となります。思わぬ間違いのないように、適用にあたっては所轄の税務署や、顧問税理士に相談されることをおすすめします。

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