NEWS
最新情報
- 会計税務顧問
接待交際費と会議費の上手な処理の仕方教えます
交際費と会議費は似たような勘定科目。迷いやすい科目でもありますよね。
でも仕訳を間違えると、本来は払わなくてもいい税金を払うことになったり、反対に、税金を少なく申告していると「脱税」を疑われる可能性もあります。
大げさだなーと思われるかもしれませんが、
例えば、こんなケースがあります。
(読売新聞)
読売新聞東京本社は東京国税局の税務調査を受け、2013年3月期までの3年間で約6900万円の申告漏れを指摘され、うち約3千万円については、所得隠しと指摘された。
社員同士の飲食費が含まれており、交際費にあたると判断されたという(読売新聞)。
(鹿島建設)
ゼネコン大手の鹿島が東京国税局の税務調査を受け、2010年3月期までの4年間に約5億円の所得隠しを指摘されたことがわかった。
2006年に受注したアルジェリアの高速道路建設工事に絡む業務委託費として海外のコンサルタントに支払われていたが、実際は現地対策費に使っていたなどとして、仮装隠蔽行為に当たると認定された。経理ミスを合わせた申告漏れ総額は約19億円で、過少申告加算税と重加算税を含め追徴税額は約6億円という(読売新聞)。
海外への支払いならほかの科目使ってしまえばばれないやーと安易に考えていると、後で痛い目を見ることになります。
そうはいっても大企業だけの話でしょ?と思っていたりしませんか?
交際費は、中小企業の税務調査でも良く見られるポイントです。
なんとなく不安になってきませんか?(苦笑)
そこで今回は、わかりにくい「交際費と会議費」について徹底解説します!
最後によく聞かれる質問を4つほどご紹介しますので、似たような場面に遭遇したら仕訳の参考にしてみてください。
なおどうしても仕訳に不安がある方は、税理士に仕訳をしてもらう「記帳代行」を依頼するのもオススメです。
それではまず、交際費から見ていきましょう。
Contents
交際費とは
交際費とは、「接待交際費」ともいい、以下のような場合に使用します。
・取引先や関係者への贈答にかかる費用
・取引先などへの接待
・関係者とのゴルフコンペ
・手土産やお中元、お歳暮
・打ち合わせ等で飲食代が1人あたり5,000円を超えるもの
など
細かく全て確認したいという方は、国税庁のホームページに飛んでください。
タックスアンサーNo.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
接待交際費という名前からも想像できるように、主に社外の人との打ち合わせや贈答品を購入した際に使うことが多い科目です。
ただし、年末に配るカレンダーやお年賀で渡すタオル(手ぬぐい)などは交際費ではなく、「広告宣伝費」として計上します。
一概に「贈答=接待交際費」とは言えないので注意しましょう。
会議費とは
会議費とは、その名の通り「会議で使う費用」を計上します。
具体的には、以下のような場合に計上します。
・会議をする会場代
・会議での飲食代
・会議の資料作成にかかる費用
・飲食代が1人あたり5,000円を超えないもの
など
「会議」と聞くと内部でおこなう会議を想像してしまいますが、外部の人を交えた打ち合わせや会議の場合にも使えます。
そのため、接待交際費との違いがわからなくなってしまう人が多いようです。
共通点・相違点
ここまで交際費と会議費についてそれぞれ解説しました。
この章では、2つの科目の共通点・相違点はどのようなものがあるのか見ていきます。
交際費と会議費の共通点
交際費と会議費の共通点は、大きく以下の2つです。
・飲食を含む打合せなどの場合に使う
・費用に分類され、損益計算書上の販管費に含まれる
交際費も会議費も、その中で発生した飲食費を計上するために使用します。
発生頻度が高いため、どちらの科目を使用するのか悩むことが多いですよね。
また、どちらも分類は費用。損益計算書では「販売費及び一般管理費」に含まれます。
交際費と会議費の違い
交際費と会議費は似ているように感じられますが、もちろん違うところがあります。
それは、接待交際費は「損金計上できる金額が決まっている」ということ。
実は、個人事業主と中小企業、大企業では、「接待交際費」を税法上の損金として処理できる金額に差があるんです。
具体的には、以下の表を確認してください。
[table id=2 /]
損金として計上できるということは、税金を抑える「節税効果」があるということ。
正しく仕訳をすることで、節税対策にもつながるので、会議費と接待交際費の違いはきちんと理解しておきたいところですね。
そこでポイントになってくるのが、「1人あたりの金額」です。
会計処理をおこなっている方なら一度は聞いたことがあるであろう「1人あたり5,000円を超えたら…」という、いわゆる「5,000円基準」。
外部の人を交えた打ち合わせや会議の際、「外部の人がいる=交際費」として処理してしまう人が多いです。
しかし、税制上は1人あたりの飲食代が5,000円を超えなければ、「会議費」として計上できることになっています。
間違えた認識で交際費を多く計上していると、本来は払う必要のない税金を余分に払うことになりかねません。
不安があるという人は、この「5,000円基準」を頭に置いておくと安心です。
交際費には損金処理に制限があるので、できるだけ会議費で処理しておきたい!!
皆さんそう思うでしょう。
実際に実務上は、社外の人の参加の有無に関わらず、「5,000円以内を会議費、5,000円超を交際費」として運用している会社が多くあります。
ただし、社外の人が参加していないいわゆる社内交際費については、原則損金算入ができません。
なお社内交際費についても一人あたり5,000円以内であれば会議費で処理できる余地がありますが(会議としての性格を持たない飲食費については社内交際費)、5,000円を超えた場合には、確実に損金に落とせないことになります。
そこで悪知恵が働く人は、
そうだ、社外の人間を一人連れてくればいいんだ!
得意先だと接待になってつまんねーし、言うこと聞く仕入れ先のあいつを呼び出そう!!
これなら会議費だろうが交際費だろうが落とせるだろ(笑)
なんてなるわけですね。
でも、そう簡単にいかないんですよね。国税庁の公表しているHPでも注意書きがされています。
交際費等(飲食費)に関するQ&A
社内飲食費に関しては、仮に、接待する相手方である得意先等が1人であっても、
その飲食等のために自己の従業員等が相当数参加する必要があったのであれば、社内飲食
費に該当することはありませんが、得意先等の従業員を形式的に参加させていると認められる場合には、社内飲食費に該当することがあります。
(国税庁HPより抜粋)
くれぐれも形式基準を満たしているからOKと安易に考えてはいけません。
また過度な飲食などは「接待交際費」だけでなく、「給与」に含めることになる可能性もあるので注意しましょう。
例えば、キャバクラで毎月100万円超豪遊している役員がいたとします。
この場合「接待交際費」ではなく、実質的に「役員報酬」だと指摘されるリスクがあります。
は?どういうこと?と思われるかもしれませんが、役員報酬として認定された場合は、
まず法人が、定期同額給与を超えた所得として、役員報酬損金不算入で法人税が課税され、
次に役員個人として、毎月のキャバクラ代100万円に所得税が追加で課税される往復ビンタ状態に陥ります。
さらに所得税は、超過累進税率ですので、今回のような追加の所得が認定された場合、高い税率のところで課税されます。
まさにサンドバック状態になりますから、謎の交際費が多い(?)会社は、特に注意が必要です。
ちなみに5,000円基準の5,000円って税込なんでしょうか?それとも税抜なんでしょうか?
答えは、会社の経理処理によります。
例えば、会社が税抜処理している場合には、税込ベースで5,400円以上が交際費に該当します。
Q&A
それでは最後に、交際費と会議費についてよく聞かれる質問を3つご紹介します。
【Q1】
会議をおこなう会場を借りました。会場代は30,000円で、参加人数は5人です。
会場代を人数で割ると1人あたり5,000円以上になりますが、この場合は交際費になりますか?【A1】
交際費には「なりません」。
純粋に「会場代」だけであれば、会議費で計上して問題ありません。
【Q2】
社内の人だけでの会議を、お酒を交えておこないました。
飲食費は1人あたり10,000円ほどでしたが、社内の人しかいなかったので会議費ですよね?【A2】
原則「社内交際費」として、会議費で計上「できません」。本来は、社内の人だけでの会議の実体があれば「会議費」で計上できます。
しかし今回の場合、お酒を交えていることや、1人あたりの金額が常識的な範囲とは言えないため、会議費では計上できないと考えられます。この場合は「社内交際費」としての計上が妥当です。
【Q3】
取引先と飲食を含む打ち合わせをしました。
先方が5,000円以上の飲食をしたが、自分は1,000円程度しか飲食をせず、合計金額は7,000円でした。この場合、会議費で計上できますか?【A3】
会議費で計上「できます」。たとえ、先方が5,000円以上飲食代として使ったとしても、合計金額で判断します。
今回の場合、合計金額を参加人数で割れば1人あたり3,500円なので、接待交際費ではなく「会議費」で計上することが可能です。
【Q4】
接待する相手方は親会社の役員等でもよいのでしょうか。
この場合社内交際費として、損金算入が認められないのでしょうか?【A4】
社外交際費として計上「できます」。資本関係が 100%である親会社の役員等であっても、連結納税の適用を受けている各連結法人の役員等であっても、相手方としては社外の者となることから、その者との飲食等に係る飲食費が社内飲食費に該当することはありません。
また、同業者パーティに出席して自己負担分の飲食費相当額の会費を支出した場合や得意先等と共同開催の懇親会に出席して自己負担分の飲食費相当額を支出した場合についても、互いに接待し合っているだけであることから、その飲食費が社内飲食費に該当することはありません。
以上よくある質問について紹介しましたが、ほかにも国税庁のHP上で公開されています。
処理に自信のない支出が生じた際には、ぜひ参考にしてください。
参照条文
(法法66、措法61の4、平元.3直法2-1、措令37の5、措規21の18の4、平21.6改正法附則6、平25改正法附則61、平26改正法附則77)
投稿者プロフィール
最新の投稿
- 税理士変更2019.07.25税理士を変更したい。よくある理由と注意すべきポイント
- 青色事業専従者給与2018.12.11配偶者(妻・夫)が事業を手伝うなら青色事業専従者給与を活用しよう。
- 大阪たこ焼き2018.07.25大阪のたこ焼き売店が1億3,000万円を脱税。飲食店の税務調査について税理士が解説。
- 事業承継2018.07.20事業承継に使える組織再編⑤「株式移転」を税理士が解説