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2018.07.11
  • 会計税務顧問

平成 30 年7月西日本豪雨災害義援金の税務上(寄附金控除)の取り扱い

平成 30 年7月西日本豪雨災害義援金の税務上(寄附金控除)の取り扱い

平成 30 年7月現在、台風第7号及び前線等に伴う大雨災害により、各地で多数の方々が生命または身体に危害を受け、西日本を中心に甚大な被害がもたらされています。

出典:ANNニュース

災害により残念にも亡くなられた方々にご冥福をお祈りいたします。また避難生活を余儀なくされる多くの方々や倒壊した施設の復旧に向け、微力ながら義援金の寄付をさせていただきました。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

今回義援金の寄付の仕方と税制上の優遇についてまとめました。日本赤十字社を例にまとめています。ネットでの基金などについては、全く同じケースもあれば取り扱いが異なるケースもあります。その場合には個別に募集要領をご覧ください。

Contents

募集期間

募集期間は、平成30年7月10日(火)~平成30年12月31日(月)までとなっています。ただし過去に東日本大震災や熊本地震などにおいては、募集期間がその後延長されています。被害が甚大な今回の豪雨についても同様に募集期間が延長される可能性がありますから、最新の情報にてご確認ください。

寄付の振込先

今回の西日本豪雨災害義援金の振込先口座が日本赤十字社のホームページから公表されています。ゆうちょ銀行のほかにも、都市銀行で取り扱いを行っています。

税制上の取扱い

日本赤十字社に対する寄付については、個人・法人問わず税制上の優遇措置が認められています。一般的な取り扱いは、以下のとおりです。

個人

個人の場合は、寄附金の総額が2,000円を超える場合に、寄附金控除が認められます。これにより所得税及び住民税が減額されることになります。

また相続により取得した財産の全部または一部を寄付した場合にも、相続税の課税価格に算入されませんので相続税が減額されます。なおこの場合には、「贈与された財産に係る証明書」を相続税申告の際に添付する必要がある点に注意が必要です。

法人

法人の場合は、指定寄附金に該当する場合と特定公益増進法人に対する寄附金に該当する場合とで取り扱いが異なります。

指定寄付金に該当する場合には、原則として全額損金算入(※東京都支部では5万円以上の寄付)が認められます。

一方特定公益増進法人に対する寄付金に該当する場合には、寄附金に損金算入限度額が定められており、その限度額内まで損金算入が認められています。なお損金算入限度額の計算式は、資本金や所得に応じて変わり、少しややこしくなります。

今回の災害義援金

今回の災害義援金はどのように取り扱ったらよいのでしょうか。赤十字社のホームページに掲載されている募集要綱によると以下のとおり記載されています。

この義援金は、所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号に規定する「国又は地方公共団体に対する寄附金」に該当する。併せて、地方税法第37条の2第1項第1号及び第314条の7第1項第1号に規定する「都道府県、市町村又は特別区に対する寄附金」に該当する。

これだけだと何を言っているのか、わかりにくいですが、ポイントとなるのは以下の2つです。

①「国又は地方公共団体に対する寄附金」に該当

災害があった場合の義援金のうち、日本赤十字社などの義援金口座へ支払った場合には、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。要は指定寄付金に該当するわけですね。法人での取り扱いのポイントです。

②「都道府県、市町村又は特別区に対する寄附金」に該当

地方税すなわち個人住民税の減税対象になるということが分かります。なお国外の災害に対する義援金などについては、個人住民税の減額対象にはなりません。国外への義援金については、ここの文言が該当しないに置き換わります。個人住民税の計算自体は各市区町村で所得に応じて計算しますので、ここでは文言の意味合いだけおさえておけば十分です。

受領証について

寄附金の優遇税制の適用を受けるためには、受領証を確証として原則保管しておかなければなりません。ただし今回のような緊急性を要する災害義援金については、受領証に変えて振込明細などで代替することが認められています。

実際に今回の災害義援金についても、赤十字社のホームページで以下のとおり公表されています。

ゆうちょ銀行の振込用紙の半券や金融機関の振込時の利用明細書を受領証の代用とすることができる。この場合における税の申告手続きの際は、義援金専用口座への振込みであることが確認できる書類(本募集要綱など)の添付などが必要になる。
なお、受領証の代用となる書類がない場合や半券等を紛失された場合などにおいて、寄付者が、義援金について税制上の優遇措置(所得税、法人税)を希望される場合、申し出により、後日受領証を発送する。
※ 受領証として代用できる利用明細書は、その明細書に①寄付者、②寄付した日、③寄付金額、④寄付先の口座番号(義援金専用口座番号)が明らかにされているものに限られる。

最後に、災害などが起きた際には、善意を踏みにじるような義援金詐欺が後を絶ちません。せっかくの寄付が復旧・復興のために使われていないと知ったら、とても残念です。日本赤十字社に限りませんが、信頼できる窓口を通じて寄付されることをおすすめします。

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