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2021.09.20
  • 会計税務顧問
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ホステス等(キャバクラ嬢、ホスト)の確定申告。税理士の報酬費用は?無申告だと税務調査がくる?

ホステス等(キャバクラ嬢、ホスト)の確定申告。税理士の報酬費用は?無申告だと税務調査がくる?

ホステス等(キャバクラ嬢、ホスト)は通常被雇用者ではなく、個人事業主です。そのため月々の報酬は給与ではありません。給与所得ではなく事業所得になります。

給与所得以外に事業所得がある場合、毎年確定申告をしなければならない点注意が必要です。

こうしたホステス等の確定申告について、解説していきます。

Contents

ホステス等(キャバクラ嬢、ホスト)の確定申告の仕組み

ホステス等(キャバクラ嬢、ホスト)の確定申告においては、まず事業所得の集計が必要になります。事業所得の集計においては、収入にかかる売上と支出にかかる経費について漏れなく集計しなければなりません。

なお青色申告を行う場合には、開業届に記載した開業日から原則2か月以内に青色申告承認申請書を所轄税務署に提出する必要があります。青色申告承認申請書が期限内に間に合わない場合には、来年度からの適用となりますので、注意が必要です。

売上:報酬にかかる源泉徴収

まず、売上について注意しないといけないのは、ホステス等への支払は源泉徴収(所得税を一部天引き)されている点です。手取り額を売上として計上していると誤りです。

出典:国税庁HP

また源泉徴収されている所得税は、確定申告書第一表の㊹源泉徴収税額に金額を入れて、㊷確定税額との差額を清算する必要があります。

これを行わないと、本来還付で所得税が返ってくるはずなのに、返ってこないどころか二重に納税してしまうといった事態になりかねません。

経費:ホステス等の必要経費とは?

ホステス等の必要経費は何でしょうか?衣装代や交際費のほか、タクシーでの移動にかかる交通費なども対象になりますし、美容代なども職業柄経費として認められるケースもあるでしょう。

通常の個人事業主よりも私費と経費の境目が曖昧な部分が多く、事業との関連性・売上への貢献を客観的に主張できるものについては、漏れなく計上したいところです。

したがって集計する領収書等の範囲や数が増えるため、いい加減な管理をしていると、本来経費にできた支出を経費にできていないといった状況が発生してしまいます。

昼に会社員等をしている場合は?

勤務時間以外の日中を有効活用するために、会社員やパートで給与所得を得ている方も中にはいらっしゃいます。こうした方は、昼職の給与所得について、年間の源泉徴収票を使って、事業所得と合算して確定申告を行う必要があります。ホステス等で働いた分だけ確定申告をすればいいわけではないので、注意が必要です。

源泉徴収票

ホステス等(キャバクラ嬢、ホスト)が確定申告しないとどうなる?

ホステス等(キャバクラ嬢、ホスト)が確定申告をしないとどうなってしまうのでしょうか?確定申告は慣れないととても面倒ですが、だからといって申告をしないと大変な事態にもなりかねません。

以下では確定申告しない場合のリスクについて解説します。

税務調査の対象

確定申告しなくても税務調査なんて来ないでしょ?と思われることも多いですが、ホステス等の報酬については、支払調書といって年間の報酬支払額を個人別にお店は税務署に提出しています。

参考:マネーフォワード「支払調書とは

したがって、誰がいくらくらい収入あるかについては、税務署は簡単に調べがつきます。

支払調書を使って、例えば収入が大きい人から順に確定申告書と突合せをすれば、売上を除外したり、そもそも確定申告をしていない無申告者を容易に探し出すことが可能です。

黙っていればバレないと思っていても、実際には情報は税務当局に筒抜けになっています。

無申告加算税や重加算税

税務署にバレてもバレた時だけ税金払えばいいだけでしょ?と思うかもしれませんが、後から税務署に指摘されて税金を納める場合には、無申告加算税や重加算税といったペナルティが課せられる場合があります。

延滞税

法定納期限(注1)の翌日から納付する日までの日数に応じて次の割合により延滞税が課されます。

[令和3年1月1日以後]

(1) 納期限(注2)の翌日から2月を経過する日まで
原則として年「7.3%」
ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合(注3)+1%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5%

(2) 納期限の翌日から2月を経過した日以後
原則として年「14.6%」
ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年8.8%

無申告加算税

各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。

重加算税

仮装・隠蔽が認められるような場合には、無申告加算税に代えて重加算税が賦課されます。

無申告加算税が課される場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を仮装・隠蔽し、その仮装・隠蔽したところに基づいて期限内申告書の提出をせず又は期限後申告書を提出したときは、無申告加算税の基礎となる税額の40%に相当する重加算税が課せられます。

このように無申告がバレた際には、制裁として多額のペナルティが課せられてしまいます。単年度だけでなく、過年度分も遡って税金を納めなければならないので、その影響は甚大です。

ご自分で確定申告できない人や所得が大きい場合

最近では、クラウド会計ソフトのfreeeやマネーフォワードなどを使用して確定申告もだいぶ作業が軽減されるようになってきました。

国税庁の確定申告書作成コーナーも年々充実してきており、こうしたサイトを活用することで、確定申告は税理士を頼らずとも自分一人で十分に完結できる時代になりました。

とはいえ、紙で申告書を書いて郵送したり、税務署へ持ち込む方も多いと思います。特にマイナンバーカードを作っていなかったり、パソコン操作が苦手という方は、アナログなやり方で何とか終わらせてきたという場合も多いでしょう。

ですが、今後はご自身で確定申告する場合にも電子申告しないと損をしてしまうことになります。

電子申告の影響

令和2年度の確定申告から、青色申告特別控除65万円を受けるには、電子申告が必要になりました。紙で提出する場合には、特別控除額が55万円に引き下げられてしまいます。

また電子帳簿保存法の改正に伴い、令和4年度より電子的に作成した国税関係帳簿を電磁的記録により保存する場合には(優良な電子帳簿)、過少申告加算税の軽減5%が認められるようになります。

いつまでもアナログな対応でその場しのぎを続けていると、デジタル化の波にうまく対応した方との間で大きな格差が生まれてしまいます。

出典:国税庁

税理士への委託

「デジタルや数字周りは苦手だからこれ以上複雑にされると自分でやるより税理士へ任せたい」という方もいらっしゃいます。その分本業に集中して稼ぎを増やすと割り切るのも大事でしょう。実際に税理士へ委託することで、稼ぎが大きくなれば、法人化のアドバイスや万が一税務調査が来ても一緒に税務署に交渉してくれる見方がいるのは心強い場面もあるかと思います。

最近では、YoutubeやTiktok、instagramなどのSNSを通じてインフルエンサーマーケティングで活躍する方も増えてきており、少しでも自分が稼ぎを最大化することに自分の自分を使うことが重要な時代なのかもしれません。

参考:税理士にフリーランスは確定申告・記帳代行を丸投げすべき理由。

税理士の報酬はどれくらい?

一般的には、年間の報酬は8万円(税別)~20万円(税別)くらいが多いのではないでしょうか。ご自身で対応する範囲が多ければ一般にその分報酬は下がりますが、逆に丸投げする場合は、相応の負担を覚悟しなければなりません。

昨今では、クラウド会計ソフトを導入して、できる限りのところはご本人にインストラクションすることで報酬を抑えるような事務所も出てきています。

弊所でも個人の確定申告のご相談を受けておりますので、ご興味がございましたら気兼ねなくお問い合わせください。

参考:会計freeeを税理士が解説・レビュー

参考:mfクラウド会計を税理士が解説・レビュー

投稿者プロフィール

佐藤淳一公認会計士・税理士
1987年1月6日 / 千葉県
東京都中央区で会計事務所を現在経営しています。
スタートアップ企業の会計税務顧問のほか、財務デューデリジェンス、株価算定、組織再編、移転価格といったビジネスコンサルティングに従事しています。クロスボーダー三角合併や事業の多角化に伴う純粋持ち株会社化など組織再編を絡めたOnly Oneな提案を得意とします。

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