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2019.07.25
  • 会計税務顧問

税理士を変更したい。よくある理由と注意すべきポイント

税理士を変更したい。よくある理由と注意すべきポイント

わたしたちの事務所には、税理士の変更を希望されて面談にいらっしゃるケースが多くあります。今回は税理士変更に至る経緯やよく検討されるポイントについてご紹介します。

税理士事務所は今や至る所にありますが、お話をうかがうとなかなか自分にあった税理士さんと出会うというのは難しいようです。

税理士の変更のほか、新しく会社を設立して税理士をはじめてつけたいという方も参考にしてみてください。

Contents

税理士にも得意・不得意がある

まず前提として税理士なら税金関係何でもできるというわけではありません。この誤解があると後に紹介するよくある不満事項とつながっていきます。

税理士側も見込み客のお客さんを前にしてなかなか「これは苦手です」とは正直に言えないものです。中にはプライドの高い人もいます。

大きく税理士は以下のタイプに分かれます。

まず大きく分けると個人で開業されている税理士と複数名の有資格者で経営されている税理士法人と規模で分かれ、その中でも得意・不得意があります。

一般的な傾向として頭に入れておくと役立ちます。

個人事務所

よくも悪くも所長のワンマンが多いです。所長の色が濃く反映されますので、苦手な業務分野でお願いしたいことが多いと不満を溜める原因にもなります。

一般的に報酬は税理士法人と比べると割安で所長自ら対応してくれるところも多くあります。所長のタイプによって見分ける必要があります。

国税OB税理士

税理士の割合でいうと最も多い属性です。税務当局で働いていた方が定年後に税理士として開業するケースは昔から多くあります。

特長としては長年税務調査を行ってきた経験から、税務調査対応については非常に頼もしい存在であると言えます。また国際税務や組織再編といった特殊な業務に長年携わっていたOBは特定の分野に豊富な知見があります。

一方で出来上がったものを調査する「税務調査」と日々の記帳や税務申告といった「作成業務」は大きく異なるので、経理の効率化や複雑な税務申告書の作成をご希望の場合には期待に沿えない場合があります。また若いうちから開業している税理士と比べて経営感覚に乏しくお役所的な一面が垣間見えることもあります。

こんな依頼が〇

✔ 経理と申告書の作成は自計化しているので、税務職員目線でのチェックと税務調査時の立会いをお願いしたい。

✔ 申告書の作成は若手の税理士にお願いしているので、国際税務(移転価格、タックスヘイブン、PE課税など)に関するアドバイスのところだけお願いしたい。

こんな依頼が×

✔ 記帳代行から申告書の作成までできるだけ正確に早くお願いしたい。

✔ 経営のアドバイスが欲しい。

試験組み税理士

税理士の割合でいうと次に多い属性です。

特長としては税理士試験に合格しているので、税務申告書の作成に関する質については能力的に担保されており安心できます。若くして開業して事務所を大きくされているような先生においては先輩「経営者」としての側面も期待できます。

一方で税務調査経験が乏しい先生の場合、調査時の対応に不安を覚えることがあります。またファイナンスやガバナンスに関する知見に乏しい方が多く後述する総合力で勝負する会計士・税理士と比べると上場準備フェーズに来ている会社などにおいては物足りなさを感じる場合もあります。

こんな依頼が〇

✔ 記帳から税務申告書の作成までまるっと税金に関係するところをお願いしたい。

✔ 所長にはメンター的な役割も期待したい。

こんな依頼が×

✔ 上場準備しているので、税務のみならず社内規程の整備や内部統制の構築についてもアドバイスして欲しい。

✔ 税務調査対応で存在感を示してほしい。

公認会計士資格を持つ税理士

税理士の割合でいうとそれほど大きくはありませんが、公認会計士として独立される方の多くは税理士業務も一緒に行うことが多いです。

特長としては、上場会社の社外役員を務める方も多く、ガバナンスの観点を中心に幅広い経営相談に対応できるという点や高度な会計知識を必要とするM&Aの領域もカバーする先生が多いです。

一方で税理士試験をパスしているわけではないので、試験組みの先生と比べて税務申告において質が担保されておらず能力的に難しい場合もあります。

こんな依頼が〇

✔ M&Aで会社を積極的に買収していきたいので、これに関するアドバイスも欲しい。

✔ 上場まで監査対応・東証対応・証券会社対応などに至るまでガバナンスの観点から会社と一緒に走ってほしい。

こんな依頼が×

✔ 記帳代行から申告書の作成までできるだけ正確に早くお願いしたい。

✔ 組織再編など高度な税務知識を有する申告までワンストップでお願いしたい。

税理士法人

税理士法人は、大きく分けると何でも取り扱う「ブティック型」と特定の業務に特化した「専門商社型」の二つに大きく分かれます。

一般的な報酬としては、ブティック型>>専門商社型>>>>>>個人事務所のようなイメージです。

ブティック型

何でも揃う百貨店型でいわゆるBIG4に代表される税理士法人です。優秀な職員が多く揃い、マンパワーが必要とされる大掛かりな案件にも専門チームで対応できる体制を整えています。

基本的には高い業務報酬を負担できるだけの大企業がクライアントとして想定されます。

専門商社型

税理士も得意・不得意がある中で得意業務に特化して大きく成長した法人です。業務としては以下のような内容で特化しています。

専門業務に特化している分、総合力には劣りますが、スポット業務として大企業から中小企業に至るまで幅広く関与しています。

✔ 相続・事業承継

✔ 国際税務・海外進出

✔ 組織再編・M&A

✔ 会社設立

なお以下の章では、個人事務所と税理士法人のうち、個人事務所に絞った内容で税理士変更のポイント・注意点について紹介していきます。

よくある不満/ランキング

前置きが長くなりましたが、税理士変更でご相談される方から多く寄せられたご意見をご紹介していきます。半数は税理士の特長を知っていれば防げたものと思われる内容でした。

仕事が遅い・できない

一番多いのが相談に対するレスが遅いなどコミュニケーションに関する内容です。「面談時は所長が来てくれてとてもいい雰囲気で契約した。しかし担当する職員の仕事が杜撰で安心して任せられない」といったこともあるようです。所長以外が窓口になるようであれば、担当者についても事前に面談に同席してもらうなどお願いする必要があるでしょう。

質問の回答内容についての不満も多くあります。「書籍のコピーをマーカーして渡されても素人には分からない」「もっと平易な言葉で説明してほしい」「気分で経費として認められたり認められなかったりする」といったご意見もありました。最近だとメールの他LINE、Slack、Chatworkなどを使って簡単な内容はすぐに共有したいという方も増えています。

また「組織再編は経験ないからわからない。M&Aのデューデリはやらない。」など追加の業務を断られたといったケースもあります。

税務調査で頼りにならない

税務調査が入って税理士変更を検討される方も多いです。

「主張したいことについても最初から否定的。税務署の言いなりで不信感を持った」「こちらのミスであれば仕方ないが税理士側のミスで追徴課税された。にも関わらず責任を感じていない」「修正申告でさらに間違えて余計ややこしくなった」などがあります。

普段から税理士任せにしていると、責任感をもって仕事してくれない税理士の場合に悲惨な目に合うようです。

業務範囲が不明確

これもよくあるケースです。「給与計算はオプションと言われて、役員報酬を計上するのに追加コストを強いられた」「記帳代行をお願いしたら従量制で高額な請求書が送られてきた」など「顧問料」を安く設定して営業をかけ、実際にはオプションで高く取るセールスに引っかかるケースです。

こうした場合オプション料を支払わないと源泉所得税、年末調整、算定基礎届、償却資産などの通常行わなければならない業務が抜け落ちていることがよくあります。

業務範囲を明確にするためには、会社の年間スケジュールを把握し、抜け漏れが疑われる内容についてこちらから確認しておく必要があります。

報酬が高い

これは上記との合わせ技で仕事の割に報酬が高いと不満を漏らされる場合があります。関与度合いにもよりますが概ね年間30万円~50万円程度を負担する中で業務内容に不満があると報酬に対する不満に即繋がるのが税理士業務の特徴です。

一方で「仕事はとてもいいけど報酬が高いから税理士を変えたい」というのはあまり聞きません。ご面談の際に、極端に高い金額でなければ細かく値切るよりも安心を買いたい経営者の思いを強く感じる場面があります。

聞いておくべくポイント/チェックリスト

最後に面談や事務所のHPで確認しておきたいポイントについて参考までにご紹介します。この章の確認事項を漏れなく聞いていくとなんだか面接しているような錯覚になりますが、これについても印象良く受け答えしてもらえる先生だととても信頼できるのではないでしょうか。

コミュニケーション能力

何よりこれが大事です。フィーリングを含めて長くお付き合いをしていきたいと思えるかどうかという点は最も外せないポイントです。

✔ 服装含めた代表者の見た目の印象

 

✔ 代表者の人柄やこれまでの経緯

 

✔ 事務所の印象

 

✔ 事務所の運営方針・今後のビジョン

 

✔ コミュニケーション手段の確認
例:先生とのやりとりはメールでしょうか?電話でしょうか?可能であればLINEやSlack、Chatworkでもできるのでしょうか?

業務範囲

ふわっとした顧問料の中に何が含まれ、何が除外されているのかその内訳を確認しなければなりません。

✔ 決算料や申告料の確認
例:顧問料には決算料や申告料は入りますか?別であればそれぞれいくらでしょうか?

 

✔ オプションの確認
例:顧問料には年末調整、源泉所得税、法定調書、償却資産の申告について含まれますか?含まれない場合にお願いするとしたらお見積りいただけますか?

 

✔ その他周辺業務の確認
例:給与計算をお願いする場合には別途お見積りをいただけますか?

 

✔ 記帳代行の確認
例:記帳代行をお願いする場合の報酬体系について詳細を教えてください。

 

✔ 会計ソフトの確認
例:弥生会計の使い方について教えてくれますか?MFクラウドやfreeeでもいいですか?

 

✔ 面談回数の確認
例:面談は四半期ですか?それとも決算時のみですか?

業務範囲と税理士との相性

業務範囲と税理士との相性も大事です。気になる点については、遠慮せずに質問で確認していきましょう。

✔ 顧問先の状況
例:顧問先は法人と個人でどれくらい関与されていますか?どちらに注力されていますか?

 

✔ 専門分野の確認
例:先生は相続・事業承継についてはどれくらいご経験がありますか?

 

✔ 創業融資等コンサルティングの是非の確認
例:先生の事務所では創業融資のサポートもおねがいできますか?

 

✔ 事業内容との相性
例:先生の得意な業種はありますか?アフィリエイト事業を行っているのですが、アフィリエイトの仕組みについてはご存じですか?

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