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2018.05.28
  • 会計税務顧問

青色申告と白色申告。必ず知っておきたい4つのことを税理士が解説します。

青色申告と白色申告。必ず知っておきたい4つのことを税理士が解説します。

Contents

青色申告の手続き

青色申告の手続きは法人と個人とでその方法が異なります。

ではどのような手続きをすることで青色申告が出来るようになるのでしょうか。

個人と法人、それぞれについて解説します。

個人

所轄税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

但しこれには提出期限が存在し、提出したその時からすべての人が適用されるというものではありません。

また事業を新規開業した場合とそうでない場合とでは扱いが異なります。

新規開業の場合

1月1日から1月15日までに開業した場合はその年の3月15日までが提出期限です。

また、1月16日以降に開業した場合、開業から2か月以内に提出が必要です。

この期限内に提出することが出来れば、その提出した年から青色申告が適用されます。

白色申告から青色申告へ変更する場合

変更したい年の3月15日までに提出できればその年分から青色申告が適用されます。

もし3月16日以降に提出した場合は、翌年からの適用になってしまいます。注意してください。

法人

所轄税務署に青色申告の承認申請書を提出します。提出期限は、会社設立初年度であれば、会社を設立してから3か月以内に提出しなければいけません。

しかし、場合によってはその3か月が来る前に事業年度が終了することもあります。その場合は、事業年度終了の日の前日までに提出する必要があります。

設立した事業年度ではなく、来期より青色申告を適用したいと考えている場合は、その事業年度の開始の前日までに提出する必要があります。

個人、法人どちらの場合も、承認されればその連絡が来ることはありません。

また、承認されなかった場合のみ連絡が来ます。あまりにギリギリに提出してしまうと、その後の不備に対応できなくなる可能性がありますので、余裕があるからと後回しにせず早く提出しておく必要があります。

青色申告のメリット

青色申告を提供することで、様々な特典を受けることが出来ます。その詳細な内容については個人と法人で異なるため、しっかりとその内容について把握しておく必要があります。

個人

・所得税の確定申告の際に、青色申告特別控除が適用できます。通常、青色申告を適用した場合は、10万円若しくは65万円のどちらかが控除額として適用されます。

・また、3年間赤字を繰り越すことが出来るため、昨年は赤字でも今年が黒字という場合には、その黒字と赤字を相殺して所得税を決定します。当然この赤字の金額によっては、税額が出ない可能性もあります。

・親族が事業を手伝っている場合は、その親族へ支給した給与も青色専従者給与の届出をすることで、全額経費として認められます。

・その他年間300万円まで、30万円未満のものを全額経費として計上することが可能になります。

法人

・個人よりも長く赤字を繰り越すことが出来ます。9年間、赤字は繰り越すことが出き、また資本金が1億円以下の法人の場合は、前年が黒字、本年が赤字といった場合は欠損金の繰り戻し還付も適用することができます。黒字が出た場合には、古い欠損金から順に差引を行い、9年で相殺しきれなかったものに関しては順次消えてなくなっていきます。

ですから、もし本年の申告が黒字で繰越欠損金を使用した場合、どの年の繰越欠損金を使っているのかを把握しておく必要があります。

・租税特別措置法に規定される税額控除等のメリットを享受できます。例えば設備投資に関する特別償却や所得拡大促進税制の適用ができる点多くの法人にとってメリットになります。

法人は、繰越欠損金が9年持ち越せることや特別償却・所得拡大促進税制のタックスメリットが大きく、個人と比較して非常に大きな特典を持つということが出来ます。

青色申告のデメリット

はっきり行って青色申告のデメリットはありません(笑)よほどのことがない限り青色申告を行ってください。

ただし難点がないわけではありません。

誰が見ても非常にメリットを感じる青色申告ですが、白色申告と比べると、手間と時間がかかります。

では具体的にどのような手間ひまがかかるのでしょうか。

その内容について少し触れていきましょう。

・帳簿保存

事業所得や不動産所得について10万円の所得控除を適用する場合は、単式簿記での記帳が条件となっています。一方で65万円控除を適用する場合は、複式簿記を使用して帳簿を保存しなければいけません。

この場合法人の帳簿を作成しているのとほぼ変わりがなく、それだけ手間がかかります。なお便利な帳簿保存方法としては、電子帳簿を選択することが簡単であり劣化しにくいので年数が経過しても確認することが出来ます。

しかしこの電子帳簿は、税理士へ顧問契約していなければなかなか自身で作成することは出来ません。

また、先般の税制改正で所得税の65万円控除を受けるための方法の一つに、電子申告や電子帳簿での保管が上がっています。そこから見ても分かるように、今後は電子帳簿保存が主流になってくるため、これに対応するだけのITリテラシーが求められます(といっても大したレベルではありませんが)。

・記帳の正確性

損益計算書だけを作成しておけばいい単式簿記とは違い、複式簿記により貸借対照表と損益計算書の両方を把握する必要があります。

一人経理で誰もチェックが出来ないといった場合には、記帳の正確性に少し不安を感じる可能性があります。

個人の所得税にしても、法人企業の法人税にしても、青色申告を適用しようとすればそれなりの手間がかかります。

とにかく時間がない!!という経営者にとっては、場合によっては本業に影響が出るかも知れません。

この場合、「設立初年度だけ仕方ないから白色申告で!!」といった戦略的な判断はあり得るでしょう。

ただし、長い目で見れば青色申告の方が断然お得で、これを適用しない理由はありません。

管理面に時間を割ける目途が立った段階で、ただちに取り組みましょう。

白色申告の悪用

帳簿の記帳・保管がテキトーでいいのであれば、経費を多く計上してしまうという発想になりがちです。昔はそれも通用していた時期もありましたが、今はそれをしてしまうと完全にアウトです。

何を言っているかというと、例えば

「帳簿を適切につけるのであれば年間の交際費100万円とするところ、白色申告で帳簿保存しなくていいなら300万円経費につけちゃおっ!」ってことです。

現在では白色申告であっても確証の保存は求められます。

したがって、確証や社会通念上から客観的に判断して妥当と思われる経費であれば否認されることもありませんが、事業に関係のないものやエビデンスのない経費として計上している場合には、税務署の調査が入った際に否認されてしまいます。

たとえ白色申告であっても、事業と関連性が高いもの、領収書やその支出が何のための支出なのかは明確に残して置く必要があります。

また、収支のバランスを加味して明らかに支出がおかしい場合には、税務調査の対象となるケースが多いです。

合理的に説明のつかない支出は白色申告であっても計上しないように注意しましょう。

(参照条文)

所法144条、所法166条

法法122条第1項、146条、法規則第52条、62条

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