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2018.07.25
  • 会計税務顧問
  • 税務調査

大阪のたこ焼き売店が1億3,000万円を脱税。飲食店の税務調査について税理士が解説。

大阪のたこ焼き売店が1億3,000万円を脱税。飲食店の税務調査について税理士が解説。

NHKニュースによると、たこ焼き店が1億3,000万円もの脱税を行い、大阪国税局に摘発されました。

(概要)

大阪城の天守閣そばにある売店の72歳の店主が、たこ焼きなどの売り上げで得た所得を申告せず1億3000万円余りを脱税したとして、大阪国税局から告発されました。外国人観光客の増加で爆発的に売り上げを伸ばしていたということです。

告発されたのは大阪城公園の一角にある売店「宮本茶屋」を経営している大阪・西成区の宇都宮タツ子店主(72)です。

この売店は大阪城の天守閣に通じる門の前にあり、1皿8個のたこ焼きを600円で販売しているほか、ソフトクリームや焼きそばなどの軽食も売っています。

関係者によりますと、外国人観光客の増加で、たこ焼きなどが爆発的に売れるようになり、おととしまでの3年間に5億円以上の売り上げがありましたが、税務申告を一切していなかったということです。

大阪国税局は、およそ3億3000万円の所得を隠し、1億3200万円余りを脱税したとして、所得税法違反の疑いで店主を大阪地方検察庁に告発しました。

出典:NHKニュースWeb

現金売上が主流な飲食店による「売上除外」は結構古典的な脱税手法です。法人や個人事業主用の口座に振込まれるビジネスと違って、現金売上はそのままポケットに入れてしまえば記録が残りません。

したがって昔から飲食店では脱税がよくされていました。例えばラーメン屋さんでの替え玉。ラーメンを頼むときは券売機で買っても、替え玉は口頭で現金払いしていることが多いですよね。この替え玉分をそのままポケットにインしちゃうと売上除外になるわけです。

このほか良くあるのが飲食店のレジ打ちです。例えば深夜の時間帯だけレジ打ちしないなどにより、一部を売上除外にしてしまうやり方です。

こうした手法は地味ではありますが、例えば一日50,000円の売上除外を5店舗でやったとしましょう。

50,000円×5店舗×365日=91,250,000円でほぼ1億円の所得隠しになります。

結構な額ですよね。飲食店の税務調査が多い理由として、スキームがお手軽なのと少額の積み上げでもかなりの所得になることがあげられます。

ちなみに現金売上の調査で売上除外の証拠をつかむために、ゴミ袋から割り箸を集めて、割り箸の本数から客数を逆算するなどがあります。

この話はわりと有名ですが、他にも潜入捜査した調査員がお札に印をつけるやり方もあります。会計した後、売上締め処理が終わった時間に今度は調査員として現れ、印をつけたお札と売上が紐づいているかをチェックしたりします。印をつけたお札がなければ(大抵他の場所で保管)、売上除外している証拠になるわけですね。

ちなみにお札の印は、どこにつけるか分かりますか?

答えは端っこです。なぜかというと札束をめくる際に端だけ指でめくってチェックすれば早いからです。

さて本題に戻るとこのたこ焼き売店は無申告の売上をほぼ全額預金口座に移していたそうです。これは売上除外の集計が楽で助かりますね。ATMで預入している金額を3年分拾ってくるだけなので、1日あれば終わると思います。

あとは経費のところですが、原材料、備品、旅費交通費、消耗品費あたりをざっくり推計して、修正申告させたというところではないでしょうか。推計課税について、その手法に文句がある場合は、修正申告せずに更正させて、その後不服申し立てなどで争うことも可能です。

なお国税の不服申し立てで争ったケースとしては、4つほど公表されています。

・青色申告法人の売上金額に対する売上原価の金額を記帳上の売上原価率によって計算したことは推計課税に当たらないとした事例

・売上除外を行っていたと認定した上、売上除外金額については前2事業年度は売上除外した商品梱包個数から推計し、後2事業年度については前2事業年度の公表売上金額に対する売上除外割合を基礎として推計した事例

・売上金額について主張、立証せず、一般経費についてのみ実額を主張しても、これを採用することはできないとした事例。また、売上原価から売上金額を推計するに当たり、6か月のみの本人比率によることは合理的ではないとした事例

・店長が保持していたノートに基づき一定期間のバスタオルの売上金額を算定して調査対象期間の売上除外額を推計するという方法は合理性があるとした事例

出典:国税不服審判所HP

本件については、コメントを見る限り全面降伏しているようですので、特に細かい点を争わずに、そのまま修正申告したものと考えられます。

 

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