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会社設立ってどうやるの?登記までに知っておきたい4つのこと
働き方の多様性が認められつつある昨今、サラリーマンの方でも、副業で会社を立ち上げることは珍しくありません。また大学生のうちから起業をしたり、定年退職後に第二の人生として起業を選択するシニア世代も増えています。
とってもバズったDJ社長の動画でも言ってました。
大学の経営学部の授業は、「経営の仕方」を教えてくれても、「経営者へのなり方」を教えてくれるところじゃなかった。
だってあいつら(大学教授)、社長じゃねー(笑)
確かにそうだと思います(しみじみ)
会社作るのに必要な書類はどこで手に入るのか?
必要な書類に何をかけばいいのか?いくらかかるのか?注意事項は何か?
登記終わったら、税金について何をいつ届けるのか?
人を雇ったら、どこに何を届けるのか?
銀行口座はどうやって開設するのか?
授業ではこんな実務的なところを触れてくれないでしょう(笑)とはいえ、みんな知りたいことだと思います。
そこで、実際の会社の作り方はどうやるのか?を「手続き」にフォーカスして紹介します。
数多くの創業社長を支援し、自分でも株式会社を運営している税理士の立場から、必要事項やよくある落とし穴について解説していきたいと思います。
Contents
1.公証人役場・法務局編
法人の設立やLLPと呼ばれる有限責任事業組合を設立する際には必ず足を運ぶことになるのが法務局であり、必要書類として公証人役場の承認を得た定款が必要となります。ではこの定款の認証から法人企業の登記までもう少し詳しく解説しましょう。
定款認証まで
法人企業を設立する際には、会社の決まりごとが記載されている定款を必ず作成しなければなりません。会社の決まりごととはどういったものなのかと言えば、会社法に基づき作成されるものです。
例えば、会社の商号や本店所在地、発起人や発行可能株式総数などの絶対的記載事項と言われる項目、相対的記載事項と言われる取締役会の設置などもこの定款には記載されることになります。
絶対的記載事項(会社法27条)
目的 | 会社の事業目的を記載し、将来、行う予定のある事業もあれば合わせて記載する。 |
商号 | 商号とは、会社の名称。株式会社の場合、商号中には「株式会社」という文字を用いなければならず、同一の本店所在場所において、既に登記された商号と同一の商号を登記することはできない。 |
本店所在地 | 最小行政区画(東京23区については区まで)までを最低でも記載する。定款に全ての住所を記載することも可能。 |
設立に際して出資される財産の価額又はその最低額 | 株数ではなく、出資財産額又は最低額を記載します。原則株式会社設立時の「資本金」になる。 |
発起人の氏名又は名称及び住所 | 発起人の氏名又は名称、住所を記載します。印鑑証明書の氏名、住所と一言一句違わないように記載しなければならない。自分で定款を作成するときにミスしやすい。発起人は法人でも可。 |
発行可能株式総数 | 発行可能株式総数については、定款認証時に定めておく必要はないが、定款に定めない場合は、会社の成立のときまでに、 発起設立→発起人全員の同意により 募集設立→創立総会の決議により 定款を変更してその定めを設けなければなりません。 ※設立時発行可能株式総数は、非公開会社の場合を除き、発行可能株式総数の4分の1を下回ることができない。よって、定款認証時に定めておく場合が多い。 |
相対的記載事項(会社法28条、29条)
相対的記載事項は、定款に記載しなくとも定款自体の効力は有効であるが、定款に定めがないと、その事項の効力が認められないものを言います。以下一般的な会社設立を前提に、よくある項目を列挙しますが、これ以外にも多数あります。
株式の譲渡制限 | 全ての株式又は一部の種類の株式について、その譲渡に会社の承認を必要とする形で株式の譲渡を制限する旨を定款で定めることができる。 |
機関設計 | 取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会、代表取締役の設置は、定款に定めることで設置できる。 |
取締役の任期 | 取締役の任期は、原則選任後2年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時まで。ただし定款で短縮または10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結のときまでに伸長が可能。 |
監査役の任期 | 公開会社でない株式会社の監査役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結のときまでに伸長が可能。 |
役員等の責任の軽減に関する定め | 会社法423条1項に基づく役員等の会社に対する責任(同法428条1項の場合を除く)を株主総会決議により軽減するほか、取締役会決議により責任の軽減をすることができる旨を定めることができる。 |
こうして見てみると、まさしく会社の規則がそこには書かれていることが分かります。この会社の決まりである定款を公証人役場で認証してもらうことが定款認証です。発起人の署名捺印も必要ですが、この定款認証をしなければ本来の定款としての効力を発揮しないことになります。
参考までに東京都の公証人役場は、東京法務局のホームページにて公開されています。
なお、電子定款認証を行った場合、印紙税4万円が節約できます。開業当初で1円でも手元に残しておいておきたい方は電子定款認証がいいでしょう。
ただし会社設立は基本的には全てがはじめての経験であり、また思い出深いものです。何社も設立しない限り1度キリです。
経験豊富な公証人(こわそうなおじさま)と事業内容や今後の展開について面談することは、とても身が引き締まる得難い経験です。
「これからやるぞ!」といった実感が湧きますし、一度はご経験されることをおすすめします。
設立登記まで
無事に定款認証を受けたその後は、設立登記のために法務局へこの定款を持参して法人登記を行います。登記そのものは申請書に記載をすれば簡単に完了できます。
申請書様式は法務局のホームページからもダウンロードできます。
申請にはおおよそ1週間から混み具合によっては2週間程度を要することがありますが、瑕疵なく申請ができれば、後は登記完了までの時間なので特に何もする必要はありません。
果報は寝て待ちましょう。
ここまで、面倒くさいから誰かにお願いしたいなーと思った方は、行政書士や司法書士など手続き代行してくれる専門家にまるっと投げて言われたことだけやりましょう。
外部株主・役員がいないような場合、基本的にはそれほどリスクはありません。
嫌だ、専門家報酬節約したい!という方向けには、インターネットから会社設立に必要事項を入力するだけで手続きしてくれるサービスがあるようです。参考までに貼っておきます。
ここまでで会社設立までの手続きは完了です。
開業費用については、
株式会社で大体20万円、合同会社で大体16万円を目安として覚えてもらえれば十分です。
2.税務署・県税事務所編
無事に定款ができ法務局での法人登記も完了すれば、次に必要な手続きがあります。
それは税務署と県税事務所へ「法人企業を設立しました!」という届出の提出です。
法人企業は、所得にかかわらずそこへ設立するだけで課税される最低限の税金(いわゆる均等割り)があります。この届出を行うことで始めて会社として活動をすることができます。また銀行からの融資や不動産の賃貸借契約時にも必ずコピーの提出が求められる書類です。控えは必ず入手し、しっかりと保管してください。
なお、注意点として税務署・県税事務所に提出する書類には、提出用だけでなく会社控え用と2部持ち込んでください。受付の担当者から会社控え用に収受印を押印してもらい、持ち帰って保管します。税務署や県税事務所ではコピー機を借りれません。近くのコンビニに誘導されます(笑)
また郵送で済ませたい場合は、①提出用以外に、②会社控え用の表紙と③切手と返信先を記載した返信用封筒を同封して、郵送する必要があります。
では具体的にどんな届出が必要でしょうか。もう少し詳しく触れていきましょう。
会社設立届出書
先にも触れましたが、会社設立の届出書が必要になります。この届出書は様式こそ異なるものの、税務署並びに県税事務所の両方へ提出が必要です。期限は、法人設立の日から2ヶ月以内です。必ず出す書類です。
青色申告承認申請書
青色申告の承認申請書は、承認されると欠損金の繰越控除(前年度以前の赤字を今年の黒字と相殺できる)や租税特別措置法に定められる特例計算の適用(少額減価償却資産など)といった税制優遇が受けられるので是非提出しておきたいものです。
いや提出してください。必ず。
「最初はよくわからんから白色で~」とか思ってはいけません。あとでわたしが何とかします(笑)
会社設立届出書とセットで出しましょう。
源泉所得税の納期の特例申請書
また、源泉所得税の納期の特例の届出については、適用されるには給与を支給している従業員の数によっても適用できるかどうかが変わってきます。
参考までに、適用できると毎月納付することが原則とされている源泉所得税が6ヶ月に一度の納付でよくなります。事務手続きが楽になるため、適用できる場合には迷うことなく申請書を出しましょう。
以上をわたしは勝手に必要3点セットと呼んでいますが、他にも消費税課税事業者届出書(あえて課税事業者を選択して還付を受けれる場合)を提出した方がよい場合や、外国法人の日本支店の設置などの際には、届け出書類や添付書類が増えます。
3.社会保険労務士事務所
社会保険とは、健康保険と厚生年金、雇用保険と労災保険この全てのことを指している総称です。健康保険と厚生年金は日本年金機構のホームーページから様式のダウンロードができます。
雇用保険はハローワークのホームページから、労災保険は所轄の労働基準監督署のホームページからそれぞれダウンロードできます。
もちろん、直接用紙を貰いに行っても構いませんし、直接行った際には指導員の方から書き方を丁寧に指導してもらえます。
健康保険と厚生年金
健康保険と厚生年金の手続きは、まず加入する時に適用届けを登記簿謄本と一緒に提出します。
次に健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を加入する全員分提出します。
また、健康保険に加入した従業員に扶養家族がいるという場合は、健康保険被保険者届を提出します。扶養親族がいない従業員の分は提出不要です。雇用保険は、雇用保険適用事業者設置届を設立の日の翌日から10日以内に提出します。
労災保険は、保険関係設立届を10日以内に提出します。従業員が設立当初から10名以上いるという場合は、登記簿謄本のほか就業規則の提出も必要です。
これらの保険関係の手続きが完了したら、50日以内に労働保険概算保険料申告書を提出します。通常は保険関係成立届と一緒に手続きをしてしまうことが多いようです。
ここまでかなりのボリュームで正直言っている意味がよく分からん。。。
という方も多いのではないでしょうか。
社会保険労務士にお願いすると、このあたりはスムーズに手続代行してくれます。
「早く営業に注力したい!!」という方は、
本コラムで概要の把握に留め(※経営者が人事労務に全く疎いのはブラック企業の第一歩で問題)、実務は専門家にお願いするというのが現実的かもしれません。
4.銀行編
法人を設立したら、今後取引をする口座が必要になります。規模が大きくなるにつれ、流石に代表者個人の口座で売上の入金、仕入先への支払を行うわけにはいきません。取引先との信用問題にもつながります。ここで疑問に感じるのは、個人口座を開設するように簡単に法人口座も開設することが可能なのかという点です。結論から言えば、書類さえ揃っていれば、ネット銀行で解説するのはさほど難しいことではありません。では、どのように法人口座を開設すればいいのか、その手順について解説します。
銀行口座開設手続き
法人口座の開設には、審査があるため個人口座の開設のように簡単にはいかないと聞きますが、本来はそうではありません。ではなぜこのようなことを言われるようになったのでしょうか。
まず、法人口座ですから法人であることの証明が必要になります。これは法人を設立した際に登記を行なっていますから、その登記簿謄本があれば問題ありません。また、定款や会社の実印、代表取締役の印鑑証明書、銀行印が必要になります。
しかし、通常会社を設立すると同時に、実印や銀行印など印鑑も一式揃えることになります。ですから、法人口座を開設するという手続きを行う際には必要なものは通常揃っている状態です。
注意事項
では、なぜ法人口座の開設はちょっと難しいというイメージがあるのでしょうか。個人的に思うところを列挙していきます。
まず一番チェックしておきたいところは、最低資本金の金額です。金融機関によっては、資本金の金額を要チェックしているところもあります。今は会社法上資本金1円でも法人設立が可能となっています。しかし、実際に資本金1円で設立し法人口座を開設しようとすると、会社としての体力がないと判断され開設できないといった例もあります。
資本金はとりあえず10万円や100万円と言われるのは、こうした銀行口座開設の審査をスムーズにするといったことが背景にあります。
あとは事業計画や法人の事業内容が明確になっているかどうかを問われる場合もあります。最近は反社会的勢力の排除など金融機関のコンプライアンスは年々厳しくなってきており、あまりに不透明な事業内容では、開設ができない可能性が高くなっています。
最近では、個人で雑所得で課税されるよりも法人化して法人税で納税した方が安くなることを念頭に置いて、仮想通貨を定款の事業目的に入れている方も増えてきていることと思います。
これ、仮想通貨の文言が定款の事業目的にあるだけで結構口座開設で否認されています。なお対策?はありますが公に書けません笑
また実際に口座を開設する際には、必ずその金融機関へ代表取締役が出向く必要があります。代表者自身の身分証明書も必要になりますので、必要書類とともに準備をして行く必要があります。
口座開設自体には審査がありますから、だいたい1、2週間ほど時間がかかると考えておく必要があります。順調に進めば、1ヶ月で口座開設が完了しますから法人設立の際にはそのあたりの時間に余裕を持っておくことをおすすめします。
一般的に求められる口座開設必要書類
- 口座開設依頼書
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 会社の定款
- 代表取締役の印鑑証明書
- 会社の代表印
- 銀行印に使用する印鑑
- 株主名簿もしくは出資者名簿
- 本人の身分証明書
追加で求められる場合がある必要書類等
- 会社案内パンフレット
- 会社のホームページ
- 会社の固定電話
- 会社の名刺
- 不動産賃貸借契約書
「会社案内やホームページなんて銀行口座開設時にあるわけないだろ!」
と突っ込み入れたくなるかもしれませんが、都市銀行中心に結構求められます。
まずとりあえずどこでもいいから口座開設!!といった場合には、ネット銀行で解説するのがいいでしょう。
編集後記
銀行の口座開設は、追加で求められる事項によって、結構審査の難易度があがります。
わたしが法人を設立した際には、借りている事務所について、大家さんとの直接の賃貸借契約ではなく、転貸でした。
金融機関から転貸契約書及び大家さんからの同意書の提出を求められ、慌てて作った記憶があります・・・
皆さんはこんなことのないよう、会社設立でつまずくことなく、幸先のいいスタートを切りましょう!
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