メルカリ mercari (4385)上場!|目論見書等から分かる今後の行方

前段

2018年6月19日に東証マザーズへ上場する株式会社メルカリ。

CM等でもおなじみで、日本だけでなく海外への積極的な進出(2014年に米国、2017年に英国)に加え、いわゆるフリマ以外にもメルチャリやメルペイといった新規事業に着手しています。

リユース市場において断トツのマーケットシェアを確立したメルカリですが、2018年6月に東証マザーズに上場することが決まりました。

後述する大量のストックオプション砲の実現や海外投資に向けた実弾の補給を目的に、このタイミングでの上場になったということでしょうか。

本来は、もう少し早くやりたかったのでしょうが、コンプライアンス上の課題から上場承認まで時間がかかったようです。

いきなり東証1部でもよかったと思うのですが、マザーズからスタートという点も、上場承認に至るまでのひと悶着を匂わせます(わたしだけ?)。

前置きはさておき、さっそく今回東証に公開されたメルカリの目論見書。

これを見るとメルカリのこれまでの軌跡や今後の展開について赤裸々に語られています。


関連記事

2018年上場(IPO)銘柄を徹底分析。上場直後と現在の時価総額は結局どうなったのか?(1~3月編)

MTG(7806)上場!| 目論見書から分かる今後の行方


総合評価

まず結論から。これから確認していく目論見書等をもとに、独断と偏見で勝手にポイント(60点満点)をつけました。

なお評価項目は、「新規上場会社が長期安定的な成長を遂げるには何が必要か?」という観点から6つの項目を選定しています。

あくまでイチ投資家としての個人的見解なので、Factベースだけ確認したい方は読み飛ばしてください(笑)

評価項目

①事業規模

②収益性

③ビジネスリスク

④将来ビジョン

⑤マネジメント

⑥従業員

評価ランク

A評価:54~60点

B評価:48~53点

C評価:42点~47点

D評価以下:~41点

評価結果/所見

総合評価は 54/60点 A評価

非常に今後の成長性も高いと判断しました。

各項目ごとの判断理由としては、

①事業規模:10点/10点

売上高350億円程度が進行期に見込まれる。またKPIとなるユーザー数も継続して右肩あがりであり、来期以降も堅調に推移することが予想されます。

文句なしに満点。

②収益性:10点/10点

モバイルアプリ×中古市場で独自の巨大市場を開拓しました。

積極的な広告宣伝と採用を通じて競合となる他社が育つ前に市場を奪取し、競合他社にとっては、メルカリの持つ①消費者に対する圧倒的な認知②マーケティングノウハウ③ビッグデータの蓄積④従業員の量と質⑤資金力など超えるべき壁は高く、参入障壁となっています。

独占市場で収益性の高いビジネスモデルを構築しており、こちらも文句なしに満点。

③ビジネスリスク:7点/10点

上場時の障壁となっていた資金決済法の問題も金融庁からの許認可を得て、ひと段落したと考えられます。また在庫リスクや多額の設備投資・研究開発費が必要なビジネスではなく、競合他社も実質いないことから潜在的なビジネスリスクは低いと考えられます。

ただし、盗品の出品や無在庫転売といったユーザー側のモラルに起因するコンプライアンス上の課題は対処すべき問題として残るため、ビジネスリスクはプラス面とマイナス面を考慮し7点としました。

④将来ビジョン:8点/10点

将来ビジョンも既に明確になっており、フリマ×海外(欧米)、アプリ×マーケットプレイス事業(日本)でメルカリの成功モデルで未開拓の市場を探っていくことを方針としています。

完全な異業種への参入と異なり、自社の強みを利用したビジネス展開で、一言でいうと非常に堅いです。派手なファイナンスばかりに目が行きがちですが、非常に勝算が高いところを模索しています。

ただし米国市場は日本市場ほど簡単には取れず、現状リブランディングによるローカライゼーションやキーとなるマネジメントの採用などテコ入れを行っています。

やるべき手は尽くしている印象ですが、現状まだ数字として受け取れる材料に乏しいことから不確実性を考慮し、8点としました。

⑤マネジメント:10点/10点

事業の概況の自社の強みに「マネジメントの存在」と書く当たり、非常に自信があることが見て取れます(笑)

冗談はさておき、会社のビジョンと具体的な戦略を通して、ステークホルダーをまとめています。

①広告宣伝費の積極的な投資と早期回収(早期黒字化及び圧倒的な収益性)

②従業員を含めた大量のストックオプションの発行

などは、既に前例のない実績で、同社の成長をドライブしています。

⑥従業員:9点/10点

従業員は連結ベースで1,000人を超え、平均年齢も30歳と今後の成長をドライブする人材を多く抱えています。

平均給与は5百万円程度に落ち着き、BSを見る限り退職金規定もなさそうです。

とはいえ、ストックオプションとして「頑張った成果」に応じて報酬が変動したり、肩書などでメンバーを呼ぶことを禁止するフェアな労働環境の整備が進んでいます。

こうした新しい施策が優秀で能力の高い人材の確保(特に若年層)につながっていると考え、評点を9点としました。

会社概要

まず細かい分析に入る前に簡単な会社概要です。

・会社名:株式会社メルカリ

・上場予定日:2018年6月19日

・市場区分:マザーズ

・代表者:代表取締役会長兼CEO 山田 進太郎

・本店:〒106-6118 東京都港区六本木六丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー18階

・設立:2013年2月

・事業の内容:C to Cマーケットプレイス「メルカリ」その他のマーケットプレイス関連事業

・事業年度:6月決算

・株主名簿管理人:三井住友信託銀行

・監査人:新日本有限責任監査法人

・幹事証券:大和証券(株)

 

公募・売出要領

お次に今回の株式上場にあたる公募・売出要領です。

・公募:18,159,500株

公募については、国内募集株式数4,288,700株、海外募集株式13,870,800株を目安。
最終的な内訳は、公募総数の範囲内で、公開価格決定日(2018年6月11日)に決定する。

・売出(引受人の買取引受による売り出し):22,554,800株

売出については、国内募集株式数14,648,200株、海外募集株式7,906,600株を目安。
最終的な内訳は、公募総数の範囲内で、公開価格決定日(2018年6月11日)に決定する。

・売出(オーバーアロットメント):2,840,500株

売出株放出元(100万株以上抜粋)

ユナイテッド(株):4,500,000株

グローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合:3,173,600株

WiL Fund I. L.P.:2,426,700株

グロービス4号ファンド投資事業有限責任組合:2,122,900株

イーストベンチャーズ投資事業有限責任組合:1,907,500株

三井物産(株):1,308,400株

Globis Fund IV,L.P.:1,272,300株

山田 進太郎:1,150,200株

・公開価格の決定方法:ブック・ビルディング形式

・仮条件決定日:2018年6月1日

・ブック・ビルディング期間:2018年6月4日から6月8日まで

・公開価格決定日:2018年6月11日

・申込期間:2018年6月12日から6月15日まで

・払込期日:2018年6月18日

・受渡期日:2018年6月19日

・元引受取引参加者等:大和証券(株)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(株)、SMBC日興(株)、みずほ証券(株)、野村證券(株)、マネックス証券(株)、(株)SBI、岩井コスモ証券(株)、極東証券(株)

基本的なインプットはこれくらいにして、具体的な評価に入っていきましょう。

企業の概況

主要な経営指標等の推移

(連結)

 

経常損失が継続して計上されているにも関わらず、営業CFは大幅に黒字なんですよね。

また期末のキャッシュも500億円超あり、潤沢です(笑)

資金繰りに関してはとても優良です。

が、経常損失の理由について、ここでは明らかにされません。

読み進める際に注視する必要があります。

(単体)

次に単体のサマリーに移りましょう。

単体では、経常損益は、第4期+32億円(経常利益率26.6%)、第5期+44億円(経常利益率21.0%)を計上しています。

つまり、単体決算はすこぶる好調で、特筆すべきは、経常利益率の高さです。

上場会社でこれだけ収益性の高いビジネスを展開している会社はどれだけあるでしょうか。

 

気になって調べました。

 

2017年度の上場会社の単体決算において、経常利益率20%超の会社を売上高の大きい順に並べていくと

(出典:開示netより筆者が加工)

 

なんと5期の決算で197位にランクインします!!

後述しますが、さらに第6期の決算は、第三四半期までの累計から推測すると、売上350億円くらい見込めるんですよね。

一気に150位以内に入る

なんてこともあるかもしれません。

4,000社弱ある上場企業をたった5期目6期目の決算でごぼう抜きするとは。

 

メルカリ恐るべし・・・

単体決算は、このとおりとても良いものでした。

 

とすると連結決算の経常損失は、子会社に起因するものでないか?とあたりがついてきます。

子会社っていつ設立して何をしているのか気になってきたところで、沿革を確認します。

沿革

沿革をまとめると、以下のことがわかります。

フリマアプリ

日本、米国、英国の順で展開。ただし英国はまだマネタイズできていない。

メルペイ

日本、米国

その他

日本

メルカリの戦略は、中核となるフリマアプリを欧米市場でも展開し、シェアの拡大を図る。

新規事業の方針としては、知名度やノウハウが蓄積されたアプリを媒体としたビジネスの中でも、決済やレンタルなど1件あたりが少額でマーケット規模が大きい潜在市場に向けた投資を進めています。

中でも米国にも拠点を置いているメルペイは次の成長ドライブとして、かなり力を入れてくるのではないか?

という点がおぼろげながら推測されます。

これを念頭に事業の内容を読み進めていくと、腹に落ちてきます。

沿革だからと言ってバカにできません。

余談ですが、意外と迷子になると沿革に戻ることで、頭が整理されてくることはよくあります。

 

まだ黒字化しているのは、日本のフリマ市場だけかもしれませんが、ここまで見てくると、次の仕込みはかなりしているなという印象を持たれると思います。

とりあえず上場してまとまった金が入ってから考えよう。というビジネス展開ではないことがだんだんと見えてきました。

事業の内容

事業内容の詳細は、こちらで確認します。

まずグループのミッションは、

「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」

スマートフォンやソーシャルメディアといった新しい媒体を通じて、今までにない価値のあるプラットフォームビジネスを展開したいということがここでは語られています。

新規事業についても、コアとなる考え方は、同じです。

メルカリで培った自分たちの強みを活かせるように、スマートフォンやソーシャルメディアを活用することで、同じプラットフォームビジネスに落とし込める市場を今後探っていくことになるでしょう。

現状は、決済レンタル市場には、既に仕込みを進めています。

単なる上場ゴールではなく、仕込みを進めるための実弾調達のための上場と考えると、本気で世界を狙っているというのは、ウケ狙いのポーズではないことが分かります。

実際のグループの事業内容は、目論見書から抜粋するとこんな感じです。

事業戦略を整理すると、ざっくりとこんな感じではないでしょうか。

(コアビジネス)

・メルカリ:オールジャンルの商品を取り扱うC to Cマーケットプレイス

 

▼next

(専門化)→特化することが効果的な商品群を別ブランドとして分離

・メルカリカウル:本、CD、CVD等に特化

・メルカリメゾンズ:ブランド品に特化

 

▼next

(多角化)→メルカリにない商品で、プラットフォームビジネスを展開できる市場の開拓

・メルチャリ:シェアサイクルサービス

・teach:個人間のスキルシェアサービス

・メルペイ:(準備中)決済・金融関連事業

最後にメルカリのKPIの推移を見てみましょう。

プラットフォームとしていかに急速に普及してきたかがわかります。

関係会社の状況

関係会社の状況をまとめました。

事業とのつながりもだいぶクリアになってきたと思います。

なお、平成30年3月末までに各社は大きく増資しています。

特に米国のMercari Inc.は、

109,599千米ドル→170,522千米ドルと60,923千米ドル増加しています。

換算レートを110円と仮定して

 

ざっと、67億円の増資。

 

 

これgoogle先生でテキトーに検索してもほとんど触れられていません(困惑)。

相当な攻めの投資ですよね。

資本金では上場前の現状のメルカリをゆうに超えており、米国市場を本気で取りに行っています。

 

Winner Takes All.

 

メルカリの攻めの経営が今後吉と出るか凶と出るか。事業リスクで詳細を確認しましょう。

従業員の状況

連結ベースの従業員数は、1,014人。

単体ベースでは、

・従業員数652人

・平均年齢30.3歳

・平均勤続年数1.3年

・平均年間給与5,019千円

 

最近1年間だけで+286人増加しています。

 

人員の増加トレンドから、単体ベースでの1,000人超えは現在すでに果たしているかもしれません。

 

また平均年間給与も平均年齢の低さを考慮すると、高い水準にあるといえます。

これに加えて、後述するストックオプション砲も加わります。

かなりの厚遇で、この売り手市場の中、優秀な人材を確保し続けてきたことが分かります。

 

全従業員にストックオプションを付与する

 

報酬面以外にも従業員の帰属意識を高め、経営に自ら主体的に参画する意識づけになったでしょう。

 

ついつい派手なファイナンスや事業戦略に目を奪われがちですが、

こうした地味な人事政策にも、メルカリらしさ、マネジメントの秀逸さが光ります。

事業の状況

業績等の概要

数字についてメルカリ自身はどう語っているのか。

重要な箇所を抜粋しましょう。

特に直近の第6期第三四半期累計期間のコメントが重要です。

(国内)

当社グループは、C to Cマーケットプレイス「メルカリ」の継続的な成長に向けて、

TVCMやオンライン広告等によるプロモーションを実施すると共に、ライブ動画配信機能「メルカリチャンネル」や

即時買取サービス「メルカリNOW」などの新機能の提供を開始いたしました。

それに伴い、「メルカリ」の国内累計ダウンロード数は平成30年3月末には、71.0百万件に達し、前連結会計年度末比で15.5百万件の増加となりました。

さらに、平成29年8月にはブランド品に特化したC to Cマーケットプレイス「メルカリ メゾンズ」、平成30年2月には福岡県福岡市にてシェアサイクルサービス「メルカチャリ」を開始し、事業展開の拡大に取り組んで参りました。

 

(海外)

一方、米国ではC to Cマーケットプレイス「Mercari」のさらなる拡大に向けて、オンライン広告等のプロモーションを実施するとともに、平成30年3月には米国におけるより効果的なブランド認知の構築を目指し、アプリロゴのデザイン変更を含む「Mercari」のリブランディングを行いました。

それに伴い、「Mercari」米国累計ダウンロード数は平成30年3月末には37.5百万件に達し、前連結会計年度末比で9.2百万件の増加となりました。

国内に関しては、ここまで見てきた内容の答え合わせにすぎません。

一方海外では、米国はどうでしょう。

累計で37.5百万件は日本のちょうど半分くらいです。

市場規模は当然米国の方が大きいでしょうから、内心ではもっとイケると思っていたのではないでしょうか。

実際にブランドのリブランディングを行っていますし。

 

米国市場で日本同様に爆発的に受け入れられるかについては、現状不透明でしょう。

 

生産、受注及び販売の状況

ここは、メーカーではないので、ほとんど記載がありません。

ただし、第6期の第三四半期までの連結売上高はのっています。

数字にして、26,147百万円で既に第5期の売上高22,071百万円を超えています(笑)。

単純に年ベースに換算すると(=26,147百万円/9か月×12か月)

 

グループ全体(連結)で単純計算すると348億円。DL数は右肩上がりですから350億円は超えてくるでしょう。

 

第6期の業績予想は、概ね300億ちょっとくらいで予想されている記事などを多く見ましたが、

実際にはもっといいようですね(笑)

経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

ここでは、経営戦略や対処すべき課題について語られています。

非常に内容が充実しているので、是非一度じっくりご一読ください。

 

ここまで具体的に経営戦略が書かれたIRはほとんど目にしたことがありません。

 

ここでは、経営戦略のうち、メルカリの強みが何か。対処すべき課題は何か。について触れていきます。

(メルカリの強み)

① 中古品市場の拡大を牽引するC to Cマーケットプレイスのパイオニア

② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれらを通じて得られる高付加価値のデータ

③ C to C特有のネットワーク効果による高いロイヤルティの獲得

④ 高い収益性を実現するビジネスモデル

⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化

 

(対処すべき課題)

① サービスの安全性及び健全性の確保

② 優秀な人材の採用と育成

③ 技術力の強化

④ 海外展開への対応

目を引いたのが、メルカリの強みのうち

② エンゲージメントの高いユーザ基盤及びこれらを通じて得られる高付加価値のデータ

⑤ イノベーションを推進する経営陣及び企業文化

です。

②は、どういうことでしょうか。メルカリの言葉を借りると、

ユーザの取引情報やユーザ間における取引評価情報等、利用価値の高いデータを大量に収集することができます。これらのビッグデータを有効活用することで、既存のサービスのユーザ体験の向上や、今後の成長に資する新規サービスの開発につなげることができます。例えば、広範なユーザデータとAI技術を活用することで、購入者の嗜好に合わせた商品の提案等による購入転換率の向上、売れやすい出品価格の提案等による出品転換率の向上、カスタマーサポートの効率化を実現していくことが可能と考えております。

 

つまり、ビッグデータを活用することで、更に効率的な経営を進めることができる。

これができるのはマーケットシェアを取っているオレたちだけだ。

 

というわけです。

根幹を取ってるビジネスってほんと強いんですよね。

ビッグデータの解析がマーケティングや経営効率化の鍵になる今後、ますますこの傾向は顕著になってきます。

次に⑤です。

ここでわざわざJohn Lagerling氏の採用について、触れています。

元Facebook社のVPとして、新規事業開発や渉外業務を担当されていたようです。

米国戦略のキーマンですね。

日本と同じやり方で米国でも通用するわけではありません。ここまでの業績の伸びを見ても日本ほど順調ではありません。

うまくテコ入れして、さらなる成長に繋げていけるか。

上場後の株価がどう推移していくか(そもそも米国でも上場するのか?)は、米国市場での今後の展開に大きく左右されるでしょう。

事業等のリスク

投資する上でここは、非常に重要です。

メルカリが、認識しているのは

① 事業の成長性について

② 競合について

③ 法的規制について

④ 自然災害等について

です。

読んでみましたが、③の法的規制を除いては、あまり目新しいものではありません。

法的規制については、

第三者型前払式支払手段発行者登録を平成29年11月に行ったこと、税務調査により法人税及び消費税の更正通知をうけることが記載されています。

前者については、資金決済法との絡みで許認可が取れたのがようやく平成29年11月。

上場のスケジュールに影響したことが想像できます。

 

後者については、平成27年6月期と平成28年6月期が対象とされています。

更正通知を受けるとのことですので、修正申告には応じなかったのでしょう。

とすると簡単に白黒がつく問題ではなかったと想像されます。

材料がなさ過ぎて予想しづらいのですが、

Mercari inc.(米国)の設立費用や広告宣伝費を日本のメルカリが負担し、日本のメルカリの費用計上を一部否認された可能性がありますね。

課税所得を出すには、かなり収益を取り込むか、費用を否認するかしなければなりません。

と考えると、売上よりは広告宣伝費といった国外関連者との経費負担が絡んでいると予想しました。

外れたらごめんなさい。

なお、移転価格と広告宣伝費については、めちゃくちゃ奥が深いので、解説を割愛します。

気になる方はこちらをご参照ください。

移転価格と広告宣伝費

[追記]

外れました(苦笑)

日本経済新聞の報道

約1億円の消費税の申告漏れを指摘されたとのことです。

消費税は難しいので誤りやすく、事実内容を見ても悪質な所得隠しなどではありませんね。

金額も会社規模に比べれば大きくないので思ったよりもインパクトなしです。

経営上の重要な契約等

本来重要ですが、該当事項はなしなので飛ばします(笑)

研究開発活動

こちらも本来重要ですが、投資が50百万円程度と軽微なので飛ばします(笑)

なお、研究開発内容についてもあまり具体的な記載はありません。

財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析

こちらも読んでいて、そんなに気になる記載がありません。

強いてあげるならば、第5期の連結PLの販売費及び一般管理費22,126百万円のうち、広告宣伝費が14,196百万円を占めている点です。

 

実に経費の64%を広告宣伝費が占めています!

東洋経済社の記事

広告宣伝費の「比率が高い200社」ランキング

では、1位のアドベンチャー65.6%に次ぐ第2位に相当します。

 

さらに広告宣伝費の額141億円は、

「広告宣伝費」が多いトップ500社ランキング2016

では、第75位に相当します。

いかにメルカリが広告宣伝費に力を入れているか。

マーケットシェアを取ることへの執念が数字から感じ取れると思います。

設備の状況

製造業ではないのでここも重要な情報はありません。

設備の新設や除却といった計画も該当なしです。

提出会社の状況

株式等の状況

ここでストックオプション砲のベールが明かされます。

ストックオプションはこれまで全部で何と39回も決議付与され、内35回分が行使可能な状況です。

目論見書が全部で200ページ超と超大作になったのは、ほとんどこのせいといっても過言ではありません(笑)

・発行回数39回(うち35回は行使可能)

・ストックオプション比率:約21%

・対象者:経営陣以外にも全従業員を対象としたストックオプションを発行

 

普通は株式の希薄化効果を嫌って、39回もストックオプションを発行できません(笑)

これはメルカリだからできた離れ業でしょう。

 

1.企業価値最大化のためには、マーケットシェアを取ることが最重要課題。

2.そのためには優秀な人材の確保が不可欠。

3.従業員を含めた幅広い層にストックオプションを付与したい。

4.上場後のさらなる企業価値の向上にステークホルダーがコミット。目先の希薄化効果に目をつぶった。

 

これらの要因が重なって、優秀な人材の獲得にストックオプションを戦略的に利用することができたと考えられます。

ステークホルダーを納得させるだけのミッション・ビジョンが明確か。将来のあるべき姿が具体的に想像できるか。

という点は非常に重要です。

 

もう一度、目論見書の事業の状況を見てください。

ここまで自社の経営をクリアに語れているIRはほとんどありません。

 

大抵は、「アベノミクスがなんちゃら~」とか「米国の大統領選や経済がなんちゃら~」とか「英国のEU離脱など~」とか

とにかくふわっとした内容でロクに分析もせずに

毎年同じようなことをテキトーに書いています。

自己株式の取得等の状況

VC等が入れている種類株式を自己株式として取得して消却。対価として普通株式を交付して、

平成29年7月時点で全部普通株式になっています(平成29年9月の株主総会にて種類株式を廃止)。

配当政策

従来配当なしですが、今後は、業績推移・財務状況・事業投資計画等を勘案して、年1回期末を基本とする予定です。

経理の状況

(連結ベース)

(単体ベース)

注記情報を確認しても、今まで触れてきた範囲の内容です。

平成29年6月期の単体が最終赤字な要因も関係会社株式評価損▲9,986百万円が計上されたことによるものであり、

本業の日本におけるフリマ事業はすこぶる好調といえます。

一方で、売上高の連単比率は、

平成29年6月期で比較すると以下のようになります。

(平成29年6月期)

・連結売上高22,071百万円 A

・単体売上高21,254百万円 B

・単体が占める割合(=B/A)=96.2%

※厳密には単体の内部取引を相殺する必要あり。

 

数字から明かなように、他の国内外子会社は十分なマネタイズができていません。

ただしこの点IRでも戦略的な投資として十分に説明がされており、過度にネガティブになる必要はないかと思っています。

海外展開やビジネスの多角化まで一時に成し遂げることは不可能です(笑)

わたしはむしろ未だこれだけ伸びしろが残っているものとポジティブな情報として捉えます。

最後に

メルカリの想定発行価格は、2,450円(2,200円~2,700円)。

上場時発行済み株式数は、1億3533万1322株。

 

よって、想定行使価格による時価総額は、約3,316億円になります。

似たような企業規模で昨年上場したLINEは、公開価格3,300円に対して、実際の初値は4,900円と+48.4%を記録しています。

また平成30年5月25日終値の時価総額ランキングを見ると、時価総額3,300億円は概ねこうした企業です。

GMOやディー・エヌ・エーに肩を並べるところまで来るわけですね(笑)

・事業戦略も明確で、今後の展開も想像がつきやすい。

・目論見書を読む限り事業リスクに対する対策も打てている。

(例えば北米市場においては、リブランディングとJohn Lagerling氏を招聘してテコ入れ)

・ストックオプション含めユニークな人事戦略

・収益性の高いビジネスモデル

・第6期(平成30年6月期)も過去実績を大きく上回る成長が期待できる

これらを勘案すると上場はあくまで通過点であり、上場後も株価は期待できると考えられるでしょう。

[追記」

6/1日に仮条件範囲は2,700円~3,000円に決定しました。

3,000円の場合、今回の上場で時価総額約4,060億円になります。

だいぶ強気な価格設定です。

とはいえ、これまで見てきたとおりまだまだポテンシャルを多く秘めたメルカリ株。
普段日本株に手を出さないわたしも公募に参戦したいと思います。

最後に一言。

当たってくれ(祈り)

ABOUTこの記事をかいた人

東京都で働く公認会計士・税理士です。祖父・父親・叔父・弟も公認会計士や税理士の不思議な家系です。移転価格・組織再編・タックスヘイブンに強みがあります。ついついブログの投稿とダイエットは3日坊主です(笑)